NECが企業利用を前提としたLifeTouch Bを投入する理由とは - (page 2)

大河原克行

2011-11-09 14:00

 こうした流れのなかで、今回の製品は「BinB」という企業での利用を想定した製品との位置づけが色濃い。BinBとしては、先頃、既存製品にセキュリティ機能の強化などを施した「LifeTouchセキュリティモデル」および「LifeTouch NOTEビジネス向けモデル」を投入していたが、今回の新製品によって、BinB向けの決定版ともいえる製品をラインアップした格好となる。

 BtoBtoCを前提としたLifeTouchは、ユーザーの要求にあわせてボタン部のレイアウト変更が可能になるなどカスタマイズ性を重視したが、LifeTouch Bでは、ハードウェアのカスタマイズには基本的に対応しない。その点、同じ7型の液晶ディスプレイでも、異なる用途で開発されたことがわかるだろう。

 同社では、開発当初からLifeTouchシリーズのBinB展開を視野に入れていたものの、想定よりも早いタイミングで展開することになったという背景がある。

 企業がiPadなどのタブレット端末を導入し、営業担当者や経営者などのビジネスツールとして活用するケースが増えてきたからだ。

 「起動が速く、快適に動作するAndroid端末をビジネスに利用したいという動きも出てきた。タブレット端末を活用することで、新たなワークスタイルを生み出し、業務の効率化につなげたいという企業が増加している」と、昨今の傾向を指摘する。

 LifeTouch Bは、営業先でのスケジュール確認、登録した営業データの検索、屋外での保守とメンテナンス、調査データや顧客データの入力作業といった利用を想定。店舗においても、商品のプレゼンテーション用や在庫確認用の端末としての利用も想定できるという。

 また、家庭内のHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)での電力消費の見える化端末として、家庭内の電化製品をネットワークするICT端末やCATVリモコンとしての利用も可能で、「シンプルなフラットサーフェースデザインとしたのは、組み込み用途としても利用しやすくしたため」という。

 NECの全資産を活用し、サービスと端末を連動させたトータルソリューションを提供する垂直統合型ソリューション端末として展開していくとする。

 パーソナルソリューション事業本部では、2011年4月からソリューション事業にかかわる陣容が約3倍に増加したという。ソリューション提案を加速するための体制づくりにも余念がないといえる。

 NECでは今年度以降、BtoBtoC以上に、BinBの商談が増加すると見ている。そうした市場の変化にあわせて投入したのがLifeTouch Bだ。LifeTouchシリーズの事業戦略そのものにも変化を及ぼす端末になるといえる。

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