インテルは11月17日、ビジネス・パーソナル・コンピューティング環境に向けた同社の取り組みなどについて説明した。そのなかで、ビジネス向けPCにおけるインテル vProテクノロジーの重要性を改めて強調するとともに、Ultrabook時代におけるビジネス向けPCの進化などについて言及した。
米Intelでインテル アーキテクチャー事業本部副社長兼ビジネス・クライアント・プラットフォーム本部長を務めるリック・エチャベリア氏は、「いまやビジネス・パーソナル・コンピューティングのルネサンスを迎えている。Intelはルネサンスをリードしていく責務がある」と前置きし、次の4つの要件に取り組む姿勢を示した。
- オートメーション:自動化による生産性向上
- セキュリティ:クライアント側の処理能力を犠牲にしないセキュリティ
- フレキシブルコンピューティング:コンピューティングモデルの進化に対応した柔軟性
- コンシューマライゼーション:消費者としての感性、CIOとしての責任を両立
リック・エチャベリア氏
オートメーションでは「vProテクノロジーの心臓部にあたる技術」と位置づけ、「ITがメンテナンスと維持に追われるのではなく、自動的に発展するものでなくてはならない。インテルは、2012年には第3世代インテル Coreプロセッサー・ファミリーを投入し、驚異的なパフォーマンスと強化されたグラフィックスを実現するとともに、第6世代のvProテクノロジーと業界をリードする最新のセキュリティ技術を兼ね備えることになる」などと語った。
vProによる自動化技術として、ITビジネスプロセスを容易に自動化するための「リモート・キーボード・マウス・テクノロジー」を紹介。また、北海道函館市の高橋病院においては、2009年に導入したデスクトップPCと比較して、vProで管理された最新のデスクトップPCでは、最大63%の使用電力を自動的に削減する成果をあげたことなどを紹介した。
セキュリティについては「IDの保護と不正行為の抑制」「マルウェアの予防」「メディア、データ、資産の保護」「リカバリと最新アッフデータの適用」の4つの柱があるとし、「ハードウェアのなかにソフトウェアを統合することで新たな価値を提供できる」と語った。
高谷宏幸氏
具体的な事例として、買収したMcAfeeとのコラボレーションで「ePO Deep Command」を提供。ePO(McAfee ePolicy Orchestrator)と、インテル vProテクノロジーとが連携することで、電源のオン/オフ状態やOSの稼働状況に関わらず脅威から防御するほか、OSの誤った設定などにより通信ができない場合でも、ハードウェア側で迅速なアクセスを可能とし、ITサービスレベルを向上させることができることなどを示した。
「エンドポイントのセキュリティポリシーを、vProテクノロジーまたはMcAfee Agent経由で配備できる。OSとの連携だけでなく、チップのレベルまで手を打つことになる取り組み」(マカフィー セールスエンジニアリング本部 シニアエンジニアの高谷宏幸氏)とした。
加藤貴氏
また、遠隔データ消去ソリューション「トラストデリート」を開発するワンビとの提携についても説明。ワンビの最高経営責任者(CEO)加藤貴氏は、11月15日付けでインテルキャピタルから出資を得たことを示しながら、「遠隔データ消去ソリューションは、ソフトウェアだけでの対応に限界を感じていた。今回、インテルのアンチセフト・テクノロジーに対応したことで、ハードウェアの観点から標準機能として幅広い製品に対応できるようになる」などとした。
柔軟性については、ワークロードの多様化に伴い、柔軟なインテリジェント・クライアントとクライアント認識クラウドのニーズが発生していることに言及。「コンピューティング、コンテキスト、ケーパビリティ(機能)の3つの“C”に適したツールを使用することが求められている。一方で、インテリジェントなデスクトップ仮想化の実現においては、様々なパートナーが、vProテクノロジー上で仮想化に対応した技術を開発しており、コンピューティングの進化に対応した柔軟性を実現している」(エチャベリア氏)と語った。
コンシューマライゼーションに関しては、フォームファクターを革新することになるUltrabookの登場が、ビジネスの分野にも影響を及ぼすことを強調した上で、「ビジネスユーザーも、コンシューマライゼーションされたPCを使いたいと考えている。だが、IT管理者はそれに対して懸念を抱いていた。vProテクノロジーを搭載したビジネス向けUltrabookの登場により、IT管理者が感じていたコンシューマライゼーションによる課題を、機会へと転換することができる。エンドユーザーにとっても、管理者にとっても、妥協のないソリューションを提供できる」などと語った。
一方、エチャベリア氏は「2006年に登場したvProは企業向けのリモート管理を目的にスタートしたが、その後も進化を続けている。この技術は、ワークステーションやサーバ、デジタルサイネージやPOS、ATMでも活用できる。他の機器にも幅広く採用されていることになるだろう」と語った。