ユーザー企業が持つ不安——信頼性、データの安全性、プライバシー、パフォーマンスの解決にSAPはどう取り組んでいるのか。
データの安全性とセキュリティについては「業界全体での取り組みが必要だ」とWang氏。SAPは欧州連合(EU)が進めている標準策定グループを率いており、自分たちの経験をEUの標準に反映させているという。SAPがドイツに持つデータセンターは、この安全性標準を満たしている。米国でもクラウド専門の委員会「Commission on the Leadership Opportunity in U.S. Deployment of the Cloud」(CLOUD2)に参加しているとのこと。「技術的にはほぼ問題ないレベルにあると思っている。問題は法として保証していくことと、ユーザーの認識を高めることだ」とWang氏は説く。
また、SAPではSLA(サービスレベルアグリーメント)の提供にも取り組んでいる。「保証があれば顧客は導入しやすい」とWang氏。実際には「Business ByDesignのダウンタイムは年間5分以下、99.7%程度」と胸を張る。
性能についても「目安として、データを得られるまでに要する時間が1秒以内が許容範囲だと考えている。Business ByDesignの平均は80ミリ秒程度、われわれのクラウドは顧客が満足するレベルを満たしている」と述べた。
クラウドの部分導入で30〜40%のコスト削減
11月に発表したSAP Storeは、Business ByDesign向けのアプリやアドオン機能を集めたもの。パートナー企業は、SAPが提供するソリューション開発キットを利用してレポートなどの機能を開発し、SAP Storeを通じて提供できる。