富士通フロンテックは1月16日、業界初となるWindows 7およびCore iシリーズ搭載のPOSシステム「TeamPoS 7000シリーズ」を発表。3月19日から国内で出荷を開始し、順次海外でも出荷をはじめる。
同社では、1995年からグローバルPOSとしてMS-DOSおよびWindowsを採用したオープンプラットフォームのPOSシステムを製品化しており、2010年度実績では国内外あわせて年間約3万台の出荷実績を持つ。
今回の製品は現行のTeamPoS 3000シリーズの後継モデルであり、グローバルPOS製品としては第4世代にあたる。同社が2009年に富士通の流通関連事業部門を事業統合して以来、POSシステムとしては初のメジャーバージョンアップとなる。
新製品は、ディスプレイおよびプリンタを一体化したTeamPoS 7000 Aシリーズと、それぞれ分離した設置も可能とするモジュラー型のTeamPoS 7000 Mシリーズの2モデル。
インテル製の最新CPUを採用することで、エントリーモデルのTeamPoS 7000 モデルA100およびTeamPoS 7000 モデルM100でも、従来製品に比べて2倍の処理性能を実現。最上位となるTeamPoS 7000 モデル500では、クアッドコアのCore i5-2400S(2.5GHz)を採用することで、従来製品に比べて約11倍もの性能向上を達成しているという。
富士通フロンテックの経営執行役常務 流通事業本部長の松森邦彦氏は、「POSシステム単体の機能として活用するには、ここまでのCPU性能は必要ない。しかし、昨今では汎用ディスプレイに広告を表示したり、バックオフィス業務をPOS端末一台で処理したり、データベースを分析して業務に利用するといった使い方が出てきており、CPUの高性能化が求められている。特に欧米ではこうしたニーズが高く、今回の新製品ではCPUの高性能化を重視した」という。
Windows用に開発された業務アプリケーションや分析ツールなどの動作が可能で、これらを組み合わせた提案も行っていくことになる。
TeamPoS 7000シリーズでは、オールインワン型のAシリーズと、モジュラー型のMシリーズを用意したことで、様々な形態の店舗に適した提案が可能になるほか、CPUの高性能化によりバックオフィス業務の利用にも対応。また、フルフラットディスプレイを採用するとともに、表面に段差や隙間がないデザインによって装置内へのホコリや水滴の侵入を防止。ディスプレイは90度までチルト角の調整が可能となり、低いカウンターでも利用しやすいようになっている。
さらに下位モデルではCPUにATOMを採用したほか、低消費電力プロセッサおよびLEDバックライトLCDの採用によって電力消費を約40%削減。POSの前を離れると省電力モードに自動移行する対人センサーを内蔵している。
加えて、すべてのモデルでSSDを採用。ハードディスクに比べて駆動部分におけるトラブル発生を5分の1以下に低減し、通常使用で10年もの長寿命化が実現できるという。
「ハードディスクは駆動部分の寿命があり、通常運用では約3年で寿命を迎えるが、これが10年に延びることから、信頼性の向上、ランニングコストの削減にも寄与できる。国内では通常5〜6年間でリプレースを迎えるが、昨今の景況感もあり、平均サイクルが6〜7年へと長期化している。SSDの採用は、その点でもユーザーのニーズに適したものとなる」(富士通フロンテック 営業本部 店舗ソリューション第1営業統括部 店舗販売推進部 担当部長の舞田光毅氏)としている。
また、データの持ち出しを制御するUSBロック機能などによりセキュリティを強化。レシートプリンタやバーコードスキャナーなどは工具がなくても交換を可能とする保守性の高さを特徴としている。
一方、量販店向けモデルとして電子多項目キーボードや固定スキャナと組み合わせることで、店頭のレジ流し台への設置を可能としたモデルも用意。量販店向けソフトウェアの「TeamStore/M」の強化によってクラウドコンピューティングへも対応している。TeamStore/Mを活用することで、複数店舗のストアサーバを本部またはデータセンターに集約することも可能になるほか、POSのログイン認証として手のひら静脈認証にも対応する。
同社では、国内およびアジア、中国市場において、今後3年間で10万台の出荷を計画しており、さらに欧米とオーストラリアでも同様に3年間で10万台の出荷を目指す。
POS市場は国内では飽和状態にあるものの、海外では新興国を中心に市場拡大の余地がある。また、高性能化を求めるニーズが高まっているのが現状だ。
同社では、今回の新製品投入を切り口として、流通事業において年率20%以上の成長を見込んでいるという。