日本マイクロソフトや山梨県などは、市民活動団体と行政・企業などとをつなぐ協働の仕組みとして、新たに「やまなし絆ネットワーク」を開発。3月13日から正式にサービス提供を開始すると発表した。
事業主体となるやまなし絆ネットワーク協議会は、NPO法人バーチャル工房やまなし、NPO法人山梨県ボランティア協会、山梨福島県人会、日本マイクロソフト、山梨県 企画県民部 県民生活・男女参画課、カルクが参加。これらが共同で開発を行い、NPOをはじめとした地域における情報発信力強化のほか、人と人、人と団体、団体と団体とのマッチングによる地域の絆づくり、災害時の対応強化などに貢献できるとしている。
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また、特定非営利活動法人日本NPOセンターと連携して、同ネットワークの仕組みを他の自治体に紹介。県外のNPOや市民団体などとのネットワーク化にもつなげたいとしている。
山梨県では、「山梨県内には約400のNPO法人があるが、効果的な情報発信や情報収集、人材確保、事務処理や管理業務などの煩雑さが課題となっている。東日本大震災の被災者約800人を県内に受け入れた際にも、受け入れ先の把握が困難であったことや、災害に影響を受けずに業務を継続できるインフラの必要性を認識した。NPOや住民、行政、企業をつなげ、NPO活動を中核とした地域活性化のためのコミュニティ基盤として構築したい」としている。
やまなし絆ネットワークは、ポータルサイトを日本マイクロソフトのクラウド基盤である「Windows Azure Platform」上に構築。TwitterやFacebookなどのSNSと連携させることで、NPO同士が情報交換できるコミュニティを提供。県内のNPOなどから発信される情報をリアルタイムに一覧できるなどの機能を持つ。
また、NPOが必要とする支援者を検索できるように、日本マイクロソフトの顧客管理システム「Microsoft Dynamics CRM」を活用して、効率的なマッチングなどを実現するという。
カルクの田崎輝美氏
カルク ソリューション事業部 情報教育・ソリューション担当課長であり、NPO法人バーチャル工房やまなしの副理事長を務める田崎輝美氏は、「2011年9月から準備を進めてきた。被災者の個人情報を保護しながら、支援を行える体制づくりに力を注いだ。これまでのポータルサイトは、管理者ががんばって情報を発信するのがほとんどだったが、Facebookを通じて被災者と支援者がともに情報を発信しあって、ここにくればあらゆる情報が入手できるというポータルを作り上げたい」とした。
山梨県の城野仁志氏
また、山梨県 企画県民部 県民生活・男女参画課 課長補佐の城野仁志氏は、「単に物資を支援するという震災復興支援ではなく、被災者と地域が支え合い、交流の場を作り、地域で被災者の出番を作り出すという次の支援フェーズに入るためのネットワークになる」とした。
また、「被災地から避難して県内で店舗を開いたパン工房テルゴでは、NPOの支援によってFacebookを通じた告知が行えるようになり、さらに県内産の小麦を使ってパンを作るといったことに取り組んでいる。また、避難してきた農業名人は空いたぶどう棚を使って空中栽培を開始するといった取り組みも開始している。被災者同士がネットワークを作ることで、たとえば県内で野菜をつくり、その野菜を使ってパンを作ってもらうなど、被災者同士が連鎖を広げていく活動につなげたい」と語った。