ビッグデータで取り戻す「おもしろい」企業IT--日立のソフトウェア事業部長

怒賀新也 (編集部) 2012年03月19日 14時42分

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 企業に流れ込む大量データを宝の山に見立て、ビジネスに生かそうとする動きが活発だ。「ビッグデータ」の言葉には「また登場したバズワード」との冷ややかな反応があると同時に、企業経営の在り方に影響を与えるほどのインパクトを持っているとの認識も広がっている。多くのITベンダーがビジネス機会をうかがい、ビッグデータに沿った製品ラインをそろえようとしている。

 その中で、業績好調の日立製作所も、ビッグデータ活用技術を体系化し、顧客ニーズへの受け入れ体制を整える。米Western DigitalへのHDD事業の売却額が見込みを上回ったこともあり、3月15日には2012年3月期連結最終利益の見通しを当初の2000億円から2800億円に上方修正した。2011年3月期の2388億円を上回る利益を見込む。

 3月13日には、情報・通信システム社でソフトウェア部門とハードウェア部門を統合する組織変更を発表。大量データ活用を支援する取り組みに力を入れる。

 具体的な取り組みの1つとして、顧客やパートナーと日立が共同で、「捨てられるデータから価値を生み出す」ためのデータ活用方法を考える「分析マイスター活動」を開始した。これを軸に、データの可視化、仮想化、並列化、抽象化などを実現するソフトウェア製品を顧客に提案していく考えだ。情報・通信システム社ソフトウェア事業部長を務める阿部 淳氏に話を聞いた。

情報・通信システム社ソフトウェア事業部長の阿部 淳氏
情報・通信システム社ソフトウェア事業部長の阿部 淳氏

 阿部氏は「企業アプリケーションに効率とスピード求められる時代になったことで、システムにユニークさが失われてきた」と指摘する。ERPをはじめとしたパッケージソフトの導入がシステムインテグレーターの主要業務になっていることが物語る。

 昭和の高度成長期などには、新幹線の座席予約システムやメインフレームでの独自の情報システムの構築など、社会インフラからビジネスの屋台骨まで、伝統的に日立はユニークなシステムを多数構築してきたと自負する。パッケージソフトの導入などでシステムがコモディティ化していることを少し単調に感じるのも理解できる。

 しかし、阿部氏はここに変化が生じていると指摘。「企業でのITの役割は今後、効率追及だけでなく新たな価値を生む手段へと変わっていく」と話す。

 特に「従来は捨てられていたような大量データをビジネスに生かす」となると、話が違ってくる。リレーショナルデータベースなどの従来型の構造化データに、RFIDやセンサなどが送ってくるような非構造化データを加えた大量データを分析し、売上増につながるパターンを拾い出すといった場合、業務への理解はもちろん、分析するデータと分析方法、そこから導かれる仮説などを設定する必要がある。実施する技術者のスキルや創造性によって、施策は異なってくるという。

 分析マイスター活動では、データ分析基盤での実績や過去の分析経験を交えながら、日立の技術者が顧客に独自のノウハウを提供する。「モデル化機械学習融合技術」では、実績値や要求値、社会資源の割り当てなどではなく、未来の予測値を用いて計算値を割り当てる「予測型割り当て」を実施する。データ分析から施策の立案にいたるプロセスは、標準化が難しく、技術者の個性も色濃く反映される作業だ。

 阿部氏は「これからITが本当に面白くなる。今後は、インドのように多数の学生がITを志向するようになってもおかしくない」と笑顔を見せた。

 日立の先端情報システム研究開発本部本部長で工学博士の三木良雄氏は、大量情報活用のイメージとして、小売業における顧客の購買パターンの解析を挙げる。10年前のデータマイニングブームでも、商品Aを買う人は商品Bを一緒に買う--といった解析はできたが、現在は、分析対象を絞らずすべてのデータに対して解析をかけられる環境がそろっている。

 そのため、A-B-C(AとBとCの商品を買う傾向のあるグループ)型から、A-B-X、A-S-Zといったパターンにいたるまで、多岐にわたって顧客の購買行動をパターン化できるという。

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