アップルの新しいiPadはPCのアップグレードサイクルを変えるか

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2012-03-21 15:03

 タブレット市場とAppleの次世代「iPad」の進化を考えると、2012年のPCのアップグレードサイクルは、消費者に関しても企業に関しても、注目に値する非常に興味深いものになるはずだ。

 Appleは、高精細ディスプレイや4G接続、その他の特長を備えた次世代iPadを発表した。それに加え、「iPad 2」も399ドルからの価格に設定された。

 最新のiPadに関するさらに興味深いデータは、ある程度ラップトップと競合しているということだ。もしラップトップの代わりにiPad 2でもやっていけるとすれば(これを目にする機会は日に日に多くなっている)、より強力なバージョンが出たことは、大きな影響を及ぼす可能性がある。

 このことは、「Windows 8」発売に伴うPC購入サイクルにどのような影響を与えるだろうか。

 PCはかなり深刻な競合にさらされている。企業ユーザーなら、次のようなことを考えるはずだ。

  • 従業員にラップトップは必要か?
  • 従業員はiPadでやっていけるか?
  • どのくらいの従業員が、自前のデバイスを持ち込んでいるか?
  • デバイスの持ち込みによって、PCにかかる費用を節約できるか?

 「Windows 7」リリース時には、タブレット市場はないも同然だった。今では、タブレットはどこにでも見られ、Appleが市場をコントロールしている一方、多くの競合企業はそれに追いつけないでいる。MicrosoftはWindows 8でPCと連携できるようになるとしているが、その立証責任はMicrosoftにある。

 つまり、今回のサイクルは、これまでのPCアップグレードサイクルとは状況が違っているということだ。Appleは、タブレット市場はPC業界よりも大きくなると主張している。Appleはまた、多くのケースでタブレットがPCの代わりになると言ってはばからない。

 iPadに2つのバージョンができたことで、PCのアップグレードサイクルはより難しい問題になる。企業は実用的なデバイスとして399ドルのiPad 2を採用することもできる。またiPad 3は従業員の個人用端末となり得るだろう。つまり、iPad 2は企業の従業員が使うデバイスになり得るということだ。

 Piper JaffrayのアナリストGene Munster氏は次のように述べている。

 Appleは、「iPhone」で採用している戦略と同じように、16GバイトのiPad 2について、今後もWi-Fiのみのモデルを399ドルで、3Gモデルを529ドルで提供する。「Kindle Fire」(199ドル)やいくつかの低価格10インチAndroidタブレットの存在を考えると、Appleからの強力な防御策として、iPad 2の価格の引き下げ、および「iPadファミリー」のさらなる低価格化が行われる可能性が高い。さらに、それによって「iPad HD」の売り上げが落ちることも考えにくい。むしろ、急速に成長しているタブレット分野において、Appleが到達できる市場を広げることになるだろう。

 Munster氏は次のように結んでいる。「Appleは今後4年間にiPadの販売台数40%増を達成できる可能性がある。もし2016年にタブレット市場全体が4億5000万台規模になれば、Appleはその半分を占める可能性がある」(Munster氏)

 その場合、その成長の大部分は、企業ユーザーによるものだろう。

 タブレット市場とPC市場が統合されつつあると断言するにはまだ早いが、確かに事態はその方向に向かっているように見える。この現実は、PCのアップグレードサイクルが近いうちに興味深いものになることを意味している。MicrosoftとIntelにとって、PC市場での覇権が脅かされる危険はこれまでになく高まっている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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