ビッグデータがもたらす新感覚マーケティング--米テラデータCEOに聞く

怒賀新也 (編集部)

2012-03-22 12:00

 「ビッグデータがこれまでと違うのはデータ量そのものではなく、データ分析の複雑性だ」

 米Teradataのマイケル・コーラー最高経営責任者(CEO)はこう指摘する。データが大量であること自体よりも、さまざまな要因を連動させて分析することにより、処理が複雑になる点が難しさにつながっているという。Teradataとしては、データウェアハウスを中心にしたデータ設計能力などの経験が生かせる時期を迎えており、業績も好調だ。

 2011年度通期の売上高は23億6200万ドルで前年同期比22%増。2012年度も、10~20%の売り上げ成長を見込む。2011年に買収した分析アプリケーション提供の「Aprimo」と非構造化データを含めたビッグデータ分析ソフトウェアを提供する「Aster Data」を、同社の戦略目標の中核に据えている。来日したコーラー氏に話を聞いた。

ZDNet:長年にわたりデータ分析を手がけてきたTeradataとして「ビッグデータ」という言葉をどうとらえているか。

コーラーCEO
コーラーCEO

コーラ—:この10年にわたりデータは指数関数的に増えてきた。難しいのは「大量データ」の分析というより「複雑な」分析だ。大量データに対してクエリーをかけ、さまざまな要因を連動させて分析するという需要が増えている。結果として、われわれのデータベース設計や意思決定に役立つソフトウェアが求められてきている。ビッグデータへの対応という意味では、ハードよりもソフトウェアの側面の方が強い。インメモリ技術やSSD(ソリッドステートドライブ)活用などは処理速度の話以上のものではないからだ。

eBayをはじめ、Teradataの顧客の多くがウェブ解析を手掛けており、「米カリフォルニアの世界有数のIT企業」もわれわれのユーザーだ。分析データ規模が1ペタバイト以上の会社は30社以上あり、うち1社は40ペタバイトを超えている。

われわれの顧客で、オンラインショップを運営する英国のShop Direct GroupやJD Williamsは、コールセンターと電話とウェブの情報を結びつけて新たなマーケティング手法を実践している。例えば、ECサイトで商品をバスケットに入れたものの、購入に至らなかったような顧客を特定し、時機を見てコールセンターから該当商品のセール情報を伝えるといった取り組みを実施している。ウェブでの購入を断念した消費者は、少し時間をおいてからコールセンターに電話をかける傾向があるからだ。

 日本法人の吉川幸彦社長も、ソーシャルメディアで交わされるテキストを分析することによる効果を話す。

吉川:例えば、「結婚」というキーワードに着目して顧客の行動を分析したときに、同時に購入される商品や傾向などをつかむことができる。「“そうじゃないか”と思っていたが、裏づけがないためビジネスに生かせなかったような情報」を裏づけるための貴重なデータソースになり得る。ソーシャルデータの分析結果と経験則が一致したときに、キャンペーンなど何らかの行動を起こすといったデータ活用方法が考えられるのだ。

ZDNet:世界的にデータ活用への意識が高まっていることが分かるが、ユーザー企業の情報システム部門をどうとらえているか。

コーラ—:米企業のIT部門も他の地域と同様で、あまりIT予算は増えていない。横ばいないし減っている企業もある。投資対象の優先付けをする必要がある中で、データ分析の優先順位が高いのが現状だ。

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