東京大学の情報基盤センターは教育用システム「ECCS2012」を3月から運用している。構築と運用を支援するNECが3月23日に発表した。
ECCS2012は、同大学の学生や教職員が教育、研究で利用するシステム。教育研究用端末は、本郷キャンパスの情報基盤センターや駒場キャンパスの教養学部情報教育棟をはじめに、本郷、駒場、柏の各キャンパスの図書館や教室に分散して配置されている。
今回のシステムでは、4万人を対象にした統合認証技術が活用されており、大学としては大規模とみられている。従来は個々にログインしていたウェブアプリケーションへのシングルサインオン(SSO)が実現したという。エンドユーザーは端末にログイン後、ECCS2012と連携する各種サービスにログイン操作なしに利用できる。ワークフローでのアカウント管理が実現し、システム管理者の運用負荷も軽減できるとしている。
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ECCS2012の統合認証では、NECが提供する統合IDアクセス管理ソフトウェア「WebSAM SECUREMASTER」シリーズを採用。統合ID管理プロビジョニングとして「WebSAM SECUREMASTER/EIM」、統合アクセス管理認証サーバとして「WebSAM SECUREMASTER/EAM」、ディレクトリサーバとして「WebSAM SECUREMASTER/EDS」を活用している。
今回のシステムでは、事業継続性(BC)や災害復旧対策(DR)の観点から駒場と本郷の両キャンパスにEMCジャパンのストレージを設置している。キャンパス間でレプリケーションを行うことで、データをバックアップしている。災害などの緊急時にバックアップからリストアすることなく、データを継続利用できるという。EMCジャパンのストレージ階層間自動データ再配置機能を活用することで、アクセス頻度に応じて速度の異なる複数のディスクを有効活用して、コストと消費電力を最適化できるとしている。
ECCS2012では、富士ゼロックスのネットプリントサービスを活用、教育研究用端末からの印刷出力を学内はもちろん、全国のセブン-イレブンでも受け取ることができる。USBメモリ上のOffice文書のプレビュー印刷やECCS2012外から印刷ジョブを受け付けることもできるという。学内でのプリント料金の支払いは、交通系電子マネーに対応している。教育研究分野でのネットプリントサービスとの連携は初めてと説明している。
教育研究用端末は1321台のiMacを導入し、MacとWindowsのデュアルブートとなっている。これまでOSごとに異なっていた端末の種類を1機種に集約して端末台数を削減している。
Kaseya Japanが提供する自動化ツールとキヤノンITソリューションズのMac向け管理ツール「Total Manager for Mac」を組み合わせて、MacとWindowsのアップデートやシステムイメージの配信、監視などを集中管理している。端末を管理するサーバ台数も3分の1に削減することにも成功している。
今回のシステムでは、帰宅後の学生や非常勤講師などが、学外から教育研究用端末のデスクトップにアクセスできるリモート接続も整備されている。各自が所有する機器からセキュアに30人が同時接続できるという。