--クラウドの文化へシフトするにあたって困難はなかったのか
文化が変わる時につきまとう困難は必ず存在する。抵抗というほどのものではなかったが、マインドを変えなくてはならないので、ある程度の時間は必要だった。しかし、われわれはすでに文化を変えることに成功した。
--ソフトウェアパッケージの開発は未だにアップデートに時間がかかっているように思えるが、クラウドのスピードをソフトウェアパッケージの開発に当てはめることはできないのか
不可能ではない。ただ、ソフトウェアパッケージの場合、新しい機能を実装する必要が出てきた場合は複雑だ。クラウドでは、アップデートを適用させるのが簡単なのだ。
ソフトウェアパッケージは、出荷後に顧客が自分たちの環境に合わせて展開する。どのような環境で展開されるのか、さまざまな環境を想定してテストする必要があるため、出荷前のテストの範囲が幅広くなるのだ。
一方クラウドの場合は、ソフトウェアが実行される環境そのものも一緒に提供することになる。つまり、ハードウェアやプラットフォーム、データベースとアプリケーションサーバの関係など、すべての環境がよく理解できており、自分の管理下にあるので、素早く簡単にアップデートが適用できるのだ。
--Dynamics CRMの顧客数は現在3万3000とのことだが、オンプレミスで利用しているユーザーとオンラインサービスを利用しているユーザー数の比率は?
オンプレミスとオンラインの詳細な比率は出していないが、去年の新規顧客のうち約3分の2はオンラインサービスを利用している。製品を試すためにオンラインから始める客は多い。その後、ミッションクリティカルな分野でも使いたいとなった時、オンプレミスへの移行を検討するが、多くはオンラインをそのまま使い続けているようだ。
Dynamicsはどちらでも使えるという柔軟性があるため、顧客もDynamicsを選んでいるし、それが他社との差別化につながっている。
--競合との差別化要素について詳しく教えてほしい。Dynamics CRM Onlineの直接的な競合となるのはSalesforce.comだと思うが、Dynamicsの優れている点は?