IDC Japanは4月16日、国内クラウドコンピューティング向けソフトウェア市場動向を発表した。2011年の国内のパブリッククラウド向けソフトウェア市場は前年比14.4%増の1179億8600万円、プライベートクラウド向けソフトウェア市場は前年比31.5%増の581億1700万円と推定している。
国内クラウドコンピューティングソフトウェア市場は、アプリケーション、アプリケーションの開発と実装、インフラストラクチャのすべてを対象としている。
2011年の国内パブリッククラウド向けは、SaaSで先行するCRMアプリケーションやコラボレーティブアプリケーションが堅調な成長という。加えて、IaaS向けのインフラストラクチャソフトウェアの売り上げも高い成長になっているとしている。2011~2016年の年平均成長率(CAGR)は19.6%を予測。Enterprise Resource Management(ERM)アプリケーションのSaaS利用の拡大、PaaS向けソフトウェア市場が高い成長をしていくと見ている。
2011年の国内プライベートクラウド向けは、プライベートクラウドの基盤となるハイパーバイザやOS、システムネットワーク管理ソフトウェアが成長を牽引したという。2011~2016年のCAGRは31.5%を予測している。現段階では、プライベートクラウドの用途は開発環境が主だが、用途は今後業務システムまで拡大することで、データベースやミドルウェア、アプリケーションもプライベートクラウド向けの出荷が増えていくとしている。
2011年の国内ソフトウェア市場全体の中で、パブリッククラウド向けソフトウェア市場は5.5%、プライベートクラウド向けソフトウェア市場は2.7%の構成比という。両市場あわせてもクラウド向けが占める割合は全体の8.2%にとどまっている。
今後クラウド向け市場を除くソフトウェア市場(非クラウド市場)の成長はほぼ横ばいで推移する。クラウド向けは高い成長となることから、2016年までにはパブリッククラウド向けが11.5%、プライベートクラウド向けが9.4%に拡大して、両市場をあわせると20.9%にまで拡大すると予測している。
IDC Japanの入谷光浩氏(ソフトウェア&セキュリティシニアマーケットアナリスト)は「ITのモデルがクラウドを前提として構築されていく流れの中で、非クラウドビジネスにはこれ以上の成長を期待することができない」と分析している。
その上で同氏は「その分クラウド向けソフトウェア市場が成長のための市場機会となるが、新旧のさまざまなベンダーが参入するため、競争はより一層激しくなっていくと考えられる。クラウドモデルに適したライセンス体系やチャネルの構築、成長セグメントの見極めなど、新たなクラウド向け戦略の策定と投資計画を行い、1日でも早く投資することが競争のカギになる」と説明している。