IDC Japanの国内中堅中小企業ユーザー調査(2月実施)によると、2012年度のIT支出予算は、前年度から「増加する」(前年度比3%増)と回答した企業の割合は31.1%と、「減少する」(同3%減)と回答した企業の割合25.2%を上回ったという。IT支出が抑制傾向だった中堅中小企業でも徐々に回復傾向にあると説明している。
東日本大震災の影響や急激な円高、欧米経済の混乱などで国内経済は不透明な状況が続いているが、2012年度以降は復興需要などから国内経済は徐々に改善に向かうとみられている。
中堅中小企業でも2012年度のIT支出は回復傾向に向かうとみられているが、従業員1000人以上の大企業と比較して、IT支出は緩やかな回復にとどまるとみている。従業員1~99人の小規模企業ではIT支出が抑制傾向の企業が依然多いほか、金融や製造の中堅中小でもIT支出の回復が遅れており、中堅中小企業のIT市場の本格的な回復は2013年度以降とみている。
ソリューションの利用や検討の動向を見ると、スマートフォンとメディアタブレットを導入している企業の割合が、前回調査(2011年3月)と比較して高くなっているという。2012年度以降に導入を検討する企業の割合でも、スマートフォンとメディアタブレットが今回の調査対象の中でも特に高くなっていることから、中堅中小企業でさらに利用拡大が見込まれる。
IT支出重点項目として比較的多くの企業でモバイル端末の運用管理を挙げていることから、中堅中小企業向けのモバイル端末運用管理ソリューションの需要も見込まれるとしている。
中堅中小企業で海外展開する企業は一部にとどまるが、製造に加えて流通や情報サービスなどを中心に海外に展開する企業も徐々に拡大している。だが現在、海外拠点のシステムを委託するベンダーの対応に不満を持ち、別のベンダーへの移行を検討する企業が多くなっているという。
IDC Japanの市村仁氏(ITスペンディングシニアマーケットアナリスト)は「ITベンダーは、中堅中小企業のニーズを十分考慮した海外拠点システムのサポート体制の整備が求められている」と分析している。