自らの認識不足を恥じながらも、それでも「持たないプライベートクラウド」と言われるとにわかに受け入れがたいところがあるが、時田氏が語るように定義が日々更新されるのは、クラウドに対するユーザーニーズが一段と具体化してきた証左でもあろう。
オンプレミスからの移行を狙うホステッドプライベートクラウドサービスに注目しておきたい。
「この技術はコンピュータとネットワークの垣根を越えるものだ」(NEC 丸山隆男 執行役員)
NECは5月24日、ネットワーク(Ethernet)を利用してコンピュータの構成を拡張する新技術「ExpEther(エクスプレスイーサ)」に対応した製品群を発表した。丸山氏の発言は、その発表会見で、プラットフォーム事業の責任者として新技術の意義を語ったものである。
NEC 丸山隆男 執行役員
ExpEtherとは、システムの拡張や性能向上の際に、サーバなどのコンピュータ本体を追加するのではなく、CPUやHDD、グラフィックボード(GPU)など必要なコンピュータ資源のみを追加することができる技術である。Ethernetでの通信に比べて、大量のデータを効率よく転送でき、高速処理が可能になるとしている。
言い換えると、LAN標準のEthernetとコンピュータのPCI Express標準バスを結びつける技術で、丸山氏によると「世界で初めて“PCI Express over Ether”をハードウェアのみで実現した」という。
ここではNECが公表した有識者の新技術に対する評価コメントを一部紹介しておこう。
「ExpEtherはバスの仮想化拡張の有力な技術である。新しいコンピュータやネットワークシステム構成をつくり出す可能性を秘めた技術なので、これから世界に普及していくことを期待している」(慶應義塾大学 理工学部情報工学科 天野英晴 教授)
「ExpEtherは市販品のPCや各種デバイスにただつなぐだけで、ハードウェアもソフトウェアも何の変更もなしに、一種の密結合な形態での分散システムを組めてしまう点で画期的な技術である。一般的なコンピュータだけでなく、さまざまな組み込み機器やネットワーク機器で用いられていくだろう」(兵庫県立大学 応用情報科学研究科 中本幸一 教授)
両コメントからも、ExpEtherがいかに画期的な技術であるかが伝わってくる。「C&C」(コンピュータと通信の融合)をスローガンに掲げるNECの面目躍如たる技術といったところだろう。
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