新たな種類の技術職
ラスベガスで最近開催されたカンファレンス、EMC Worldでは、クラウドベースのITサービスへの移行と、その移行が技術的な仕事をどう変えるかが注目の話題だった。ストレージサービスの大手企業であるEMCで情報インフラおよびクラウドサービス担当の最高執行責任者(COO)を務めるHoward Elias氏は、「ITに関わる人間の数は減らないが、それらの人々はITに違う形で関わることになるだろう」と述べている。
「もしあなたが、サーバやストレージ、ネットワークの管理者であれば、わたしがサイロ化要素と呼んでいる、それらの技術に特化したスキルセットを持つ人に対する必要性は小さくなるかもしれない」
それらの仕事は消えるものの、異なるサービスと技術を整理することを中心とする技術的な分野と、巨大なデータストアを分析して価値のある意味を引き出し、技術をビジネスと顧客のニーズとマッチングさせるビジネス指向の分野で、新たな仕事が生まれてくる。
「われわれは、わたしならデータセンターアーキテクトかクラウドアーキテクトと呼ぶような人材を、ずっと多く必要とするようになるだろう。それらの人材は、サーバやネットワーク、ストレージについても十分な知識を持っている必要があるが、それらを互いに統合して相互作用させる方法を知っていなくてはならず、さらにもっとも重要なのは、それらの上でサービスとしてITを提供したときに必要となる、管理と自動化について理解していなくてはならないということだ」と同氏は述べた。
EMCは、同社が将来ビジネスのITの核となると考えている2つの職業について、トレーニングと資格の枠組みを持っている。その2つとは、クラウドアーキテクトとデータ科学者だ。クラウドアーキテクトはビジネスのニーズに合った仮想化とクラウドの設計を行い、データ科学者はペタバイト規模のデータベースに最新の分析技術を適用して、有益なビジネス動向を発見する。
これらの新しく、よりビジネス指向の役割への転換に目を向けているITプロフェッショナルは、他の技術者だけでなく、ビジネスアナリストや、それらの職位を満たすための訓練を受けてきた新卒学生などとの競争にも直面するだろう。
GartnerのRivard氏は、ビジネスマインドを持つ技術者と技術をよく知るビジネスタイプの人は、どちらも同じようにそれらの新しい仕事に適していると述べている。「彼らはどちらの側の人でもよいが、生涯にわたって学習を続け、そのすべてを習得したいと思っている人でなくてはならない」
そして、よいニュースもある
新しい仕事には競争もあるものの、Rivard氏はITプロフェッショナルは仕事を見つけるのに苦労しないだろうと予想している。