ヘルプデスクへの投資を最大限に活かすための10の方法

Mary Shacklett (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2012-06-29 07:30

 ヘルプデスクは、ユーザーや顧客に対して高度なサービスを提供したり、アプリケーションや製品のエクスペリエンスを向上させるなど、業務を支援する重要な存在となっている。

 IT分野のヘルプデスクは何年も前から必要悪と見なされてきた。しかしIT部門がサービスセンターへと姿を変えていくにしたがい、ヘルプデスクがサービスを支援するだけの存在ではなく、アプリケーションの品質向上や、より優れた製品の開発を可能にする存在であるという事実にITマネージャーも気付き始めている。これは従来の考え方、すなわちIT部門で実力を発揮できない要員を、アプリケーション開発に向いていないとの理由でヘルプデスクに配転させるという考え方からの脱却を意味している。

 今日では、ヘルプデスク(および優れたヘルプデスクツール)をIT分野のコアコンピタンスを担う役割のものとして編成し直すという考え方が新たに出てきている。こういった考え方は特に、社内のユーザーと、社外のエンドユーザーの双方に対して高いレベルのサービスを提供することが求められるクラウドベースのインフラに軸足を移していこうとする場合に重要なものとなる。そこで以下では、ヘルプデスクへの投資を最大限に活かすための10の方法を解説する。

#1:IT部門の新人をヘルプデスクに配属し、キャリアの土台を築かせる

 これはIT分野において目新しい考えとは言えないものの、その戦略的な価値は10年前から変わっていない。IT部門の新人をヘルプデスクに配属することで、最終的に彼らはシステムを自らの「新鮮な視点」から見ると同時に、ユーザーの視点からも見つつサポートを行うようになる。システムをITという視点から見慣れていってしまうと、システムにおける「ユーザーの視点」というものを徐々に見失っていく。しかし、キャリアの初期段階においてヘルプデスクという立場でエンドユーザーのイライラにさらされておくことで、その経験を後々の仕事に活かせるようになるはずだ。また、より優れたIT製品やITサービスを作り上げようという思いを強くするきっかけともなるだろう。

#2:ヘルプデスクで高い実績を上げている人材に報償や、ふさわしいキャリアパスを用意する

 IT部門でキャリアを積み始めたほとんどの人は、ヘルプデスクがキャリアアップを望めない仕事だと考えてきた。このため、ヘルプデスクに配属された場合には、アプリケーション開発者やプロジェクトマネージャー、データベース管理者、あるいはネットワーク管理者へと昇格するための作戦を練ることが日々の目標となっていたはずだ。しかし、信じてもらえないかもしれないが、ヘルプデスクの仕事を気に入り、その仕事でキャリアを重ねていきたいと考えている人々もいるのである。サービスというものの重要性が高まるなか、最高情報責任者(CIO)にはヘルプデスクや品質保証といった仕事におけるキャリアを、アプリケーション開発やシステムプログラミングといった仕事におけるキャリアと同格にする手段を見つけ出すことが求められている。ヘルプデスクのような分野で高い実績を上げる人々が他の職種の人々と同じような出世街道を歩め、同様の機会と尊敬を得られるようにすることで、彼らに長く勤めたいと思ってもらえるようになるはずだ。

#3:ヘルプデスク部門をSLAに組み込む

 近年では、多くのIT部門がSLA(サービス品質保証制度)で定められたレベルを満足させるよう、社内ユーザーから求められてきている。SLAを評価する重要な要素には、障害チケットの発行から対応開始までにかかる時間と、問題そのものを解決するまでにかかる時間というものがある。これら2つの要素は、ユーザーに対する義務を履行するうえで重要な役割を果たすIT部門のヘルプデスクにとって、主要なメトリクスとなっているはずである。

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