医療用医薬品大手のファイザーは販売管理システムをクラウドとオンプレミスで構築、本格稼働させている。システムを構築したNECが7月30日に発表した。
本格稼働させている販売管理システムは「実消化」と呼ばれる、製薬会社での卸経由の製品販売実績を管理するシステム。これまで製薬会社は医薬品卸から業界VAN経由で入手した販売実績データを、自社で活用できる形に変換処理する仕組みを各社ごとに構築、運用していた。
卸から医療機関や調剤薬局に納入された実績を意味する実消化データは、販売実績管理、分析、戦略策定などのマーケティング業務や人事業績評価など製薬会社での重要な指標の基礎データとなり、各種業務システムで活用されている。NECは、製薬会社が医薬品卸の販売、納入実績を把握するためのデータ変換処理になる実消化システムを2011年1月からSaaSとして提供している。
ファイザーが今回本格稼働させているシステムは、実消化クレンジングにNECのSaaSを活用している。NECのSaaS型実消化システムはNECの共通IT基盤サービス「RIACUBE」で稼働している。ファイザーは、NECがインフラサービスで内部統制保証報告書を受領しているなどの信頼性向上に向けた取り組みを評価している。
サービス基盤上での処理時間を向上させているために、処理エンジンにNECのデータ処理高速化ソフトウェア「InfoFrame DataBooster」を採用している。400万件のクレンジング処理に要する時間は約20分と説明している。
SaaSで提供される実消化システムは、ファイザー内部のオンプレミス環境で稼働しているセールス統合マスタ管理システムと連携している。セールス統合マスタ管理システムは組織や担当者、エリア、施設担当、製品など各種営業基本情報を管理する。
セールス統合マスタからのデータ提供できめ細かい処理が可能となり、人事異動や組織変更など経営上の変更にも柔軟に対応できる。システム全体は8カ月で構築している。