シャープの2012年度通期業績見通しは、売上高が4月公表値に比べて2000億円減の2兆5000億円、営業損失が1200億円減のマイナス1000億円の赤字、経常損失が1200億円減のマイナス1400億円の赤字、当期純損失が2200億円減のマイナス2500億円の赤字だ。
「まずは足下の着実な収益改善と財務体質の改善に最優先で取り組む一方、規模に見合った経営体質への移行と固定費の削減、あらゆる分野における構造改革をしながら、新たな成長分野に向かっていく。上期に膿みを出しながら下期から再生していくという、不退転の決意で経営陣は取り組む」と奥田社長は決意をみせる。
※クリックで拡大画像を表示
※クリックで拡大画像を表示
シャープは創業以来、経営理念に「いたずらに規模のみを追わず」という一文を書き出しにいれ、それをベースとした経営を進めてきた。
競合他社が設備の拡張などを図るなかでも緊縮経営体制を維持し、これが結果として1951年の動乱終結後の経済界の混乱のなかでも打撃を受けることなく経営を維持。1965年に訪れた東京オリンピック後の大不況、1973年の第1次オイルショックの際にも、一時帰休や希望退職制度を一切実施しなかった。
その点で、堺工場への大規模な投資などは、結果として「いたずらに規模を追った」ツケが表れたといえるかもしれない。奥田社長が自らの発言のなかに「規模に見合った経営体質への移行」という文言を入れたのも経営理念に則ったものだ。
5000人の人員削減後のシャープが試されるのは、再び、経営理念の姿勢に立ち返ることができるかどうかであろう。
Keep up with ZDNet Japan
ZDNet JapanはFacebookページ、Twitter、RSS、Newsletter(メールマガジン)でも情報を配信しています。