IDC Japanは9月19日、2011年の国内のシステム/ネットワーク管理ソフトウェア市場の実績と2016年までの予測を発表した。2011年の同市場は前年比1.6%増の2789億8900万円だった。2011~2016年は年平均成長率(CAGR)が2.5%で推移して、2016年の市場規模は3155億円に達すると見込んでいる。
2011年の同市場は、東日本大震災で一時的な投資抑制があったが、2010年に引き続いてプラス成長となった。市場構成比で4分の1以上を占めるワークロードスケジュール管理や自動化の分野が前年比3.4%増となり、市場全体のプラス成長を支えた。
ワークロードスケジュール管理や自動化の分野の大部分を占めるジョブスケジュール管理の上位ベンダーの売り上げが堅調だったこと、仮想環境向けの自動化ソフトウェアが高い成長にあることがプラス成長の要因としている。通信事業者やデータセンター事業者が障害対応の強化で大規模データセンター向けに障害イベントを管理するソフトウェア、サーバやアプリケーション、ネットワークの稼働を監視するソフトウェアの売り上げも伸びている。
ベンダー別の売上額シェアでは、日立製作所が大規模データセンター向けの売り上げが伸び、2010年に引き続き首位を堅持、富士通、NEC、IBMが続いている。

2012年は前年比2.4%増で2857億1100万円になる見込み。同市場は、システムの運用管理を展開する上で必須なものであり、2013年以降も堅調な成長が続くとみている。
特に成長が期待される分野としては、変更管理/構成管理ソフトウェアの分野のCAGRは3.8%で最も高くなると予測している。今後ハードウェアやソフトウェアなど増え続けるIT資産の統合管理、複雑化していくシステムを可視化して全体を把握するというニーズが高まっていくことが予想されるという。
仮想化技術導入に伴い、仮想マシンのプロビジョニングなどの運用プロセスを自動化するソフトウェアの需要も高まるとみている。ワークロードスケジュール管理や自動化の分野のCAGRは3.2%と予測している。IDC Japanの入谷光浩氏(ソフトウェア&セキュリティシニアマーケットアナリスト)が以下のようにコメントしている。
「ユーザー企業が着目しているのは目に見えないコスト、すなわち運用管理にかかるムダの排除だ。仮想化技術を活用した自動化で運用プロセスのムダをなくし、高いサービスレベルを維持するシステム運用を実現するために、管理ソフトウェアを活用した解決策でユーザー企業を支援することが、これからのベンダーやSIerに課せられた使命であり、激しい競争を生き残るための決め手になる」