NTTデータは10月18日、インドの子会社NTT DATA Global Technology Services(GTS)内に「Agile Professional Center India」を設置したことを発表した。NTTデータグループ内でアジャイル開発の展開と人材を育成するための拠点の第1弾になる。
NTTデータは、グループ内の従業員を対象にアジャイル開発プロジェクトの実践を通したトレーニングの場を提供して、アジャイル開発の人材を育成し、各地域のグループ各社へのアジャイル開発の展開を担う組織として「Agile Professional Center」を立ち上げる。今回はその第1弾であり、インド圏での中心拠点になる。立ち上げ時の現段階では、NTTデータとGTSの20人で構成されている。
Agile Professional Centerの具体的活動は(1)アジャイル人材の育成、(2)先進的な研究開発、(3)オンデマンドなアジャイル開発体制の確立――の3点になる。(1)は、専任のアジャイル開発トレーナーの指導のもと、“スクラム開発手法”や“Extreme Programming(XP)”を習得する。同時にトレーナーも育成して、各地域のグループ各社でアジャイル開発の人材が増えていく仕組みも確立していく。
スクラム開発手法はアジャイル開発の一つ。“スプリント”と呼ばれる1週間から1カ月の期間で動作するソフトウェアを漸進的に開発していくことで、早期に顧客に提供できる管理フレームワーク。シンプルで分かりやすく、欧米でのアジャイル開発で最も採用されている手法であり、日本国内の企業でも採用されつつある。
XPもアジャイル開発の一つ。ユーザーの要求や仕様の変更リスクを軽減するために、顧客や開発者間のコミュニケーションやコーディング、テスト、コードの書き直し(リファクタリング)などに重点を置いて、短期間のリリースを繰り返して開発する。
(2)は、アジャイル開発の実践で得られる知識やノウハウを集約して、よりビジネスニーズの変化に迅速に対応するための開発手法を研究、開発する。(3)は、アジャイル開発の人材を多数確保することで、顧客のニーズに応じて即座にアジャイル開発で対応可能な体制を整えることを目指す。
NTTデータは今後、Agile Professional Centerを世界各地域に設置していく。2012年度中に日本を含む3拠点、2014年度までに中国、インド、ベトナムなど東南アジアや欧州、日本の世界5拠点の設置を目指す。
ビジネス環境の変化速度は加速しており、情報システムも短期間での開発が求められるようになっている。そうしたことからアジャイル開発が主流になりつつあると言われており、米国のIT企業のソフトウェア開発でアジャイルの採用率は30%以上とみられている。人材の数で比較しても、日本のアジャイル開発できる人材は大幅に不足していると指摘されている。