カブドットコム、オンラインサポート基盤刷新--PC設定などの時間を半減

田中好伸 (編集部)

2012-10-22 14:55

 カブドットコム証券は10月22日、オンラインサポートサービス基盤としてSaaS「Cisco WebEx Support Center」の活用を開始した。シスコシステムズが同日発表した。

 カブドットコム証券はITを活用した取引アプリケーションや投資情報ツールを提供している。これらを利用するには、一定のPC操作に対する知識や経験が必要であり、顧客自身でPCを設定することも必要だ。

 顧客のPC設定作業や実行環境の調査、改善に関する問い合わせは全体の約14%だが、これらのサポートにかかる時間は全サポート時間の30%を超えている。

 全体的な顧客満足度向上のために、委託手数料の4割を占める60代以上の顧客にも取引アプリケーションや投資情報ツールを活用してもらうことをサービス上の課題と位置付けていた。60代以上の顧客にPCの設定作業をしてもらうことは、サポート体制の構築も含め、難しいのが現状だったと説明している。

 カブドットコム証券は、これらのサービス上の課題を改善する手段としてWebEx Support Centerを採用した。WebEx Support Centerは、顧客が利用するPCの画面をカブドットコム証券のサポートセンター担当者と共有して、担当者から遠隔操作する機能をSaaS型で提供する。PCの設定など複雑なサポート業務にかかる時間をおよそ半分まで短縮でき、普段必要としないPCの設定をあえて覚えておく必要がなくなったことで、心理的な満足度の一層の向上が期待できると説明している。

 WebEx Support Centerを活用したオンラインサポートサービスでは、顧客自身の判断でサポートセンターの担当者に見せるアプリケーションを個別に許可できる。この機能を利用すれば、アプリケーションの設定変更だけで改善する不具合の場合に、見せたくないアプリケーションやデスクトップの画面までも共有する必要がない。

 デスクトップの操作を許可すれば、PCの設定を変更することも可能だ。すべての操作には、顧客の許可が必要であるために、顧客の知らない間に勝手に情報を収集することができないようになっている。

 顧客側のネットワーク環境は、携帯端末や無線LAN、ファイアウォール機能が搭載されたルータ、セキュリティソフトウェアで通信を代理中継する環境など、複雑になっている。WebEx Support Centerでは、そうした環境でも、サポートセンターでの厳格なセキュリティポリシーを緩めることなく、安全に稼働させられる接続性を確認できるとメリットを強調している。

 WebExには、システム間連携を容易にするための各種SDKやウェブAPIが標準で用意されている。これらを活用することで、既存の取引システムやサポートシステム、ウェブAPIで疎結合な形での連携システムを約1カ月で開発し、特別にオンラインサポートシステムのプログラムをインストールしたり、メールでサポート番号を入力手順を伝えたり、サポートシステムをあらかじめ起動したりなどの煩雑な作業を省くことができると説明している。

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