EMCが進める「Software-Defined Data Center」とは一体何か?

田中好伸 (編集部) 2012年10月29日 17時40分

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 「クラウドコンピューティングの波は破壊的であると同時にビジネスの機会を作り出す。クラウドの破壊力はこれまでの中で最も大きい」――。EMCの会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるJoe Tucci氏が来日、10月29日に開かれた記者会見の中で語っている。

 Tucci氏は、企業の最高情報責任者(CIO)が現在抱える課題として「予算のジレンマ、莫大な情報、サイバーセキュリティ」という3つがあると指摘。予算のジレンマは、年間のIT投資の7割が既存システムのメンテナンスに投資され、新しい成長のためのシステムなどに投資されるのは3割でしかないという状況を指している。莫大な情報とは、向こう10年間で情報が44倍に増加するという状況だ。サイバーセキュリティの課題は、言わずもがなだろう。

Joe Tucci氏
4年ぶりに来日したJoe Tucci氏

 Tucci氏は、CIOが抱える課題はすべてクラウドが解決すると主張する。ここでTucci氏が言うクラウドは、プライベートとパブリック、その2つを併用するハイブリッドクラウドを指している。Tucci氏は、これまでのITの流れを、メインフレームからミニコンピュータ(ミニコン)、マイクロプロセッサを搭載するPCからクライアント/サーバ、そしてクラウドとまとめた上で、「かつてミニコンの市場には20社が製品を投入していたが、現在はどの企業も存在していない」と説明。その上でITの世界におけるクラウドの波が、冒頭のようにこれまでにないものと強調している。

 そのクラウドの進化にはあわせて4つの段階があるという。その段階は(1)標準化、(2)仮想化、(3)自動化、(4)Software-Defined Data Center――という4段階だ。

 標準化の段階は、すべてのIT基盤を同様のもので構築するということだ。プロセッサで言えばx86、いわばIAサーバですべてを統一してしまうというものだ。Tucci氏は、世界のサーバ出荷量に占めるx86が9割という数字を示しながら、「GoogleやAmazon Web Servicesといったパブリッククラウドベンダーはx86サーバの上に標準化を展開している」と説明する。

 仮想化の段階はハイパーバイザによって「アプリケーションは仮想化されたインフラの上で稼働する」(Tucci氏)状況を指している。Tucci氏は、かつてのシステムを振り返って「アプリケーションがインフラを所有していた」という言葉で表現している。ハイパーバイザによる仮想マシンはシステムに有効なことから、物理マシンの数は横ばいで推移しているが、仮想マシンの数は増加の一途をたどっている。

 仮想化された環境は運用管理の面で複雑化を招く。そのために必要となってくるのが自動化だ。現在の日本のユーザー企業は、この仮想化と自動化の段階に位置するのではないだろうか。それでは、Tucci氏が主張するSoftware-Defined Data Centerとはどのような状況を指しているのだろうか?

 Tucci氏は現在のデータセンターの中身について「データセンターは縦割りの状況」にあると表現する。つまりは、メールならメール、統合基幹業務システム(ERP)ならERPというように、システム単位ごとにストレージやサーバ、ネットワーク機器でシステムが構成されているという状況だ。これをまとめて共通のストレージやサーバ、ネットワーク機器の上で、アプリケーションを稼働させようという考えがSoftware-Defined Data Centerだ。Tucci氏がこう表現する。

 「古い世界は、システムの処理ピークにあわせてシステムを設計、導入していた。アプリケーションがインフラを所有してそれぞれがサーバやストレージなどを持っていた。Software-Defined Data Centerでは、アプリケーションとインフラが分離することになる。プール化されたインフラの上で、必要とするサービスレベルやポリシー、コストなどにあわせて、アプリケーションが稼働することになる」

 Software-Defined Data Centerの世界では、システムの効率化が図られると同時に自在に制御でき、選択できるようになるという。Tucci氏は「ITの俊敏性が向上する」とSoftware-Defined Data Centerのメリットを強調している。記者会見に同席した日本法人EMCジャパン代表取締役社長の山野修氏(EMC本体の副社長を兼任)はSoftware-Defined Data Centerについて、こう語る。

 「ユーザー企業の一部では、1つのデータセンターをプライベートクラウドとして活用している。しかし、Software-Defined Data Centerでは、複数のデータセンターをネットワーク越しに連携させてプライベートクラウドとして活用する。これはまだまだ難しいものがある。Software-Defined Data Centerはサーバやストレージ、ネットワーク機器のすべてをソフトウェアで定義していくというものだ」

 Tucci氏は2000年に社長兼最高業務執行責任者(COO)としてEMCに入社。2001年から社長兼CEOを務め、2006年から会長も兼任している。2004年にVMwareを買収するなど、これまでに73社を買収してきている。現在EMCが進めるSoftware-Defined Data Centerを完成させるには、同社グループ内で「ピースは持っているが、開発中のものもある。(Software-Defined Data Centerを進めるために)ほかの企業を買収していくこともある」と説明している。

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