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加速するクラウド化への流れ--Google Appsを導入したテレビ東京ホールディングス

沙倉芽生 御手洗 大祐

2012-11-12 10:00

 2011年3月11日、東日本大震災が発生した。あの日、情報を得るため、連絡を取りあうために思いのほか役立ったのはインターネットだった。携帯電話はもちろん固定電話さえ通じなくなる中、インターネットで最新情報を入手し、メールやチャットで連絡を取り合った人は多かったはずだ。日本中がパニックに陥ったあの日は、インターネットやクラウドサービスの信頼性が証明された日でもあった。

 「震災がITのクラウド化を促す働きをしている」と話すのは、テレビ東京ホールディングス(テレビ東京HD) 情報システム局次長 兼 システム部長の大関潔氏だ。テレビ東京HDは2012年4月より、電子メールやカレンダ、ドキュメントなどのクラウドサービス「Google Apps」を利用している。

テレビ東京HD  情報システム局次長 兼 システム部長の大関潔氏
テレビ東京HD 情報システム局次長 兼 システム部長の大関潔氏

 サービス採用のきっかけは、過去に導入していた自社運用のポータルシステムを更新する時期が来たためだが、クラウドへの移行に社内の反対意見は思ったよりも少なく、比較的スムーズに導入できたという。「自社システムが壊滅状態になるような大震災の時に、クラウドサービスは有効に機能していた。その結果、BCP(事業継続計画)のためにはクラウドサービスを上手に利用することが必要だと考えられるようになった。社外にデータを置くことを心配するよりも、社外だから安心だと考える風潮が出てきたようだ」と大関氏は話す。

単純更新か、クラウドへの移行か

 テレビ東京がクラウドへの移行を検討し始めたのは、以前利用していたオンプレミス型ポータルシステムの更新を約1年後に控えた2011年2月のことだった。「そのまま更新することも検討したが、オンプレミス型のシステムはライセンスコストが高価なほか、自分たちで運用し、保守する必要がある。時期的にクラウドへの気運が高まっていたこともあり、単純更新を視野に入れつつクラウドも検討し始めた」と、テレビ東京HD 情報システム局 システム部の段野祐一郎氏は振り返る。

 約3カ月かけてさまざまなグループウェアを検証し、2011年5月にGoogle Appsに候補を絞った。その後、Google Appsの機能検証を経て7月に導入を決め、8月からテスト利用を開始した。グループウェア拡張ツールなど、必要な機能を補完するツールも検討し、11月から本番環境の構築を開始した。

 移行は決まった。しかし、Google Appsにサードパーティー製拡張ツールとしても提供されていない機能があった。それは組織階層表示されたアドレス帳に、社員の顔写真を表示する機能だ。

 同社では、1990年代半ばに自社開発のポータルシステムを利用し始めた頃から社員の顔写真をシステム上で公開し、社員証を忘れた方の本人確認の手段として、またコミュニケーションの活性化のために役立てていた。「日常的に利用する必須機能なので、Google Appsに移行するからといってこの機能をなくすわけにはいかなかった」と段野氏。

 そこで段野氏は、GoogleのPaaSであるGoogle App Engineを利用し、自ら開発に取り組んだ。加えて、以前はグループウェアにログインするとイントラネット上の業務システムにシングルサインオンする機能を開発して利用していたため、Google Apps移行に伴い、この機能も平行して開発した。

 この2つの機能の開発・導入を2011年8月より開始。開発と同時にデータ移行の計画も立てなくてはならない。メジャーなツールであれば、ポータルのコンテンツをそのまま移行するサービスが用意されていることも多いが「われわれが以前利用していたポータルシステムには有効な移行手段がなく、結局は個人でデータをローカルに保存し、それをアップロードし直すという手順を取った」と、段野氏は移行時の苦労を語る。

 2012年1月下旬からは、システム移行の説明会を部署単位で開催し、ユーザーの理解を得た。役員に対しては個別に担当者が説明に回った。システムの移行対象となったテレビ東京およびテレビ東京HD、グループ会社であるBSジャパンのユーザー約1500人分のメールを順次移行していった。

 情報システム局のメンバーとシステム関連子会社の合計約20人が総出で移行作業に取り組む日々が続いた。その結果、3月末には、ポータル、カレンダーなど、利用予定のツールが全面的に移行され、4月1日に完全にGoogle Appsへの移行が完了した。以前利用していたポータルシステムのライセンス期限は4月末だったため、これ以上遅れることは許されなかった。

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