デルはここ数年、ソリューションプロバイダーに向けた取り組みを加速させている。
最近の積極的な買収もソリューション強化を視野に入れたものだといえよう。SonicWALLやWyse Technologyといった企業を買収し、最新四半期にはQuest Softwareの買収を完了。セキュリティ、クラウド、データバックアップ、プロテクション、管理といった事業領域を強化することで、エンド・トゥ・エンドでのソリューション提供体制を整える。
一方、日本においてはパートナービジネスの拡大に力を注ぎ、直販型のデルモデルとは異なる新たな方向性を模索しているところだ。
各界のエグゼクティブに価値創造のヒントを聞く連載「ZDNet Japan トップインタビュー」。今回はデルの郡信一郎社長に話を聞いた。
デルの郡信一郎社長
--デルはソリューションプロバイダーへの転換を標榜していますが、その進捗についてはどう自己評価していますか
残念ながら、まだ満足できるレベルにはありません。
例えばITで課題を解決したいという時、企業の経営トップが「それならばデルに相談してみよう」というところにまでは至っていません。半年前、1年前に比べると少しずつは変化はしていますが、ソリューションプロバイダーとしての認知度はまだまだ低いと考えています。ソリューションプロバイダーへの道のりは長いもので、半年や1年で終わるものではありません。
今年1月に(米デルの創業者でCEOの)マイケル・デルは、買収戦略は今後4〜5年間続けていくと語っています。また、4年が経過したからといって、そこでやめるとも言っていません。まだ道半ばだといえます。
--ソリューションプロバイダーとしての認知度向上で、日本ではどんなことに取り組もうと考えていますか
「デルはソリューションプロバイダーです」と、ただ漠然とメッセージを出しても、なかなか伝わりません。これは私自身の性格でもあるのですが、物事は集中したほうが成果につながりやすい。「デルはこの分野に強い」、あるいは「この分野が得意である」という認知を積み重ねていくことが、ソリューションプロバイダーとして認知される早道なのではないでしょうか。