米Cisco Systemsが米国時間12月12日に発表した報告書「2012 Cisco Connected World Technology Report(CCWTR、英語)」によると、18~30歳の大学生と若手従業員のいわゆる“Y世代”の90%が朝、学校や職場に向かう前に、多くはベッドを出る前にスマートフォンでメールやテキスト、ソーシャルメディアをチェックするのが日課になっているという。
人体には206本の骨があるが、報告書ではY世代にとってスマートフォンは207番目の骨と表現。5人に2人は、スマートフォンがつながっていないと「自分の一部を失ったような不安を感じる」と回答している。
Y世代の回答者の10人に9人は、朝の当然の儀式として着替えや歯磨き、スマートフォンのチェックを挙げている。Y世代の29%はスマートフォンのチェック回数が多すぎるために数え切れないと回答。5人に1人が10分以下ごとにメールやテキスト、ソーシャルメディアをチェックしている。米国では10分以下の周期でチェックしている。全体の回答者の3分の1は30分以下の周期でチェックするが、米国ではこの割合が50%以上に跳ね上がるという。
Y世代の60%は、無意識のうち、あるいは強迫観念に駆られるようにスマートフォンでチェックしている。つながることに対する切迫感は女性の方がより強いという。スマートフォンでチェックせずにいられないことが多いと答えた割合は、女性で85%、男性で63%となっている。スマートフォンを継続的にチェックできない状況になった場合、回答者の40%以上が“禁断症状”を覚え、「自分の一部を失ったような不安を感じる」としている。
報告書では、最もプライベートな空間も含め、あらゆる場所で使用されていると言及。常につながっていたいという欲求は、仕事と社会生活、家庭生活の線引きが不明瞭になることを意味していると説明している。想像しうる、あらゆる場所から四六時中仕事の進捗状況をチェックし、コミュニケーションを図っている。仕事と個人のそれぞれの時間の間に明確な区切りはなく、その両方が昼夜を問わず混沌として存在していると表現している。
具体的に言うと、回答者の4人に3人がスマートフォンをベッドで使用しており、バスルームでスマートフォンを使用する人も3分の1以上いる。46%が、家族や友人との食事の最中もメールやソーシャルメディアをチェックすると回答。米国の回答者の56%は、会食の最中でもスマートフォンを使用している。危険なことに、約20%がクルマの運転中にメールを打った経験があるという。
職場という視点でスマートフォンの存在をみると、1つの端末しか選べないとしたら3分の1がスマートフォンを選択、3分の1より若干多くの回答者がノートPCを選択している。スマートフォンの人気はデスクトップPCの2倍、タブレットの3倍となっている。こうしたことから、世界各地でスマートフォンがノートPCのライバルになりつつあると分析。スマートフォンは最も多用途で最もコンパクトであるとみなされていると言及している。
5人に2人は、会社支給の端末を業務以外の目的に使用することが内規で禁じられていると回答。だが、約71%はこの規則に常に従っているわけではないと回答している。66%は「会社が従業員のオンライン活動を活動したり、干渉したりすべきではない」と感じていることも明らかになっている。
こうしたことから報告書は、常につながっていたいY世代にとって、端末が自分のものであれ、会社のものであれ、1つあれば、それで十分と表現。企業の資産や情報を守らなければならないIT部門にとっては課題になると指摘している。
IT部門では、多くの従業員が規則に従っていないことを認識しているが、それがどれだけ横行しているかには気付いていないとも指摘。世界のIT専門職の半数以上が、従業員は内規に従って業務端末を個人目的に使用していないと考えているという。
調査は、CiscoからInsightExpressに委託、2種類の調査資料で構成されている。1つは18~30歳の大学生と若手従業員を、もう1つはIT専門職を対象にしている。日本、米国、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、ロシア、ポーランド、トルコ、南アフリカ、インド、中国、韓国、オーストラリアの各国で100人を抽出している。