なぜ垂直統合型システムか
Oracle/Sun時代のSPARCの特長をひとつ挙げるとすれば、それは「Oracleが開発するOSやミドルウェア、アプリケーションといったソフトウェアを最適化する」(Heydari氏)ことも狙って開発されているということだ。
Sun買収後のOracleは、もともと開発している「Oracle Database」を中心としたミドルウェアと、SPARCやSolaris、そしてJavaといったSunの技術を活用して、ソフトウェアとハードウェアを一貫して設計、開発するというコンセプト「Engineered System」を打ち出している。その具体的な製品が「Oracle Exadata」「Oracle Exalogic」「SPARC SuperCluster」「Oracle Exalytics In-Memory Machine」といったEngineered Systemsだ。これらの製品はどれも、現在のオープン系システムの複雑性を解消するために有効とされている。
Oracle/Sunのハードウェアとソフトウェアは、それぞれコンポーネント単体としての機能や性能の向上を図るとともに、Exadataに見られるような垂直統合型システムの全体の機能と性能の向上も狙う。これはプロセッサというハードウェアからアプリケーションまでフルスタックを持っているからこそできる。すべてのレイヤに手を加えることができるからだ。
Exadataのような垂直統合型製品について大曽根氏は「オープンスタンダードで構成されている」と説明。独自の技術でユーザー企業を囲い込むことはないと強調している。
UNIXへの回帰
SPARC T5の実物
「あまりキャンペーンをやらない」というオラクルが今回のようなキャンペーンを展開するのは、オラクルの焦りと見ることもできる。UNIXサーバから、x86サーバとLinuxを組み合わせたオープン系への移行が進んでいるからだ。
ユーザー企業にとって「UNIXは高いシステム」「オープン系の方が扱いやすい」というイメージがあるためだろう。現に各種統計を見ると、UNIXサーバは大きな成長を遂げていない。
だが、ここに来てUNIXを見直す傾向もあるという。大曽根氏は、次のような話を明かしてくれた。
「ユーザー部門とIT部門の間でケンカする状況があるという。IT部門は安いからx86サーバを選択したが、それを聞きつけたユーザー部門が信頼性はどうなると詰め寄っている」
信頼性の面で「UNIXに回帰する傾向を感じている」という。「x86サーバのコモディティ化が進んで頭打ちの状態にある。そこからの揺り戻しなのか、UNIXへの回帰の傾向も見られる」(大曽根氏)
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