日本オラクルは3月15日、SPARC T4プロセッサを搭載したエントリモデル「Netra SPARC T4」サーバ2機種を同日から販売すると発表した。従来はWebサーバなどフロントエンド系を対象にしていたNetra SPARCサーバに、処理性能を高めたSPARC T4プロセッサを新たに搭載したことで、OLTP、ERP、データウェアハウスなどバックエンド系の処理でも使えるようにした。152万円からと、処理性能に対する価格の低さも特徴としている。
SPARC T4プロセッサは、前版の「T3」に対し同社比で、整数演算性能が5倍、浮動小数点演算性能が7倍、スレッド処理性能が2倍向上した。日本オラクルのシステム事業統括、ビジネス推進本部担当シニアマネジャーの白川晃氏は要因として、SPARC T4プロセッサに実装されたCPUコアであるVT Core(SPARC S3)を挙げる。
Netra SPARC T4-1
VT Coreは、最大クロック数が従来の1.65GHzから3.0GHzに向上、2命令同時実行機能を実装した。さらに、重要なアプリケーションや仮想マシンに優先実行権を付与する機能やハイパーバイザー、OS、アプリケーションから資源を最適配分できる「ダイナミック・スレッド機能」を搭載している。
発売される2機種の詳細は次の通り。Netra SPARC T4-1は、2.85GHz4コアまたは8コアのSPARC T4プロセッサを1台搭載。最大メモリは256GB。筐体は2ラックユニットで、奥行きは526ミリメートル。価格は4コアモデルが152万8436円から、8コアモデルが238万8638円から。
2ソケットのNetra SPARC T4-2サーバは、2.85GHzの8コア SPARC T4プロセッサ2個を搭載。最大メモリは512GB、筐体は4ラックユニット、奥行き530ミリメートルで、価格は457万4010円から。
Netra SPARC T4-2サーバ
OSには「Oracle Solaris 11」を採用しており、SPARC専用のハイパーバイザー「Oracle VM for SPARC」を基盤にすることで、Solaris 8/9/10とSolaris 11の混在運用も可能になる。
さらに、2011年12月に開始したOracle VM for SPARC上でのライセンス分割も、ユーザーに利点がありそうだ。OracleはOracle VM for SPARCをハードウェアパーティションとして認定しており、例えば「8コアのうち、コア6番と7番の2コアだけでドメインAを運用する」場合なら、Oracle DBのライセンスは「2コア×CPUコア係数0.5」の計算式により、1ライセンス分の費用のみを支払えばいい、といったイメージだ。
Oracleは、今回発表した、並列処理型のSPARC Tシリーズを旧Sun Microsystemsの人員が開発。ソケット数が少なく、ハイエンドの利用を想定するエンタープライズ Mシリーズを富士通と共同開発している。白川氏は「OracleによるSun買収により開発コストが潤沢になり、人材面を含めてSPARCの開発基盤が固まってきた」と話している。