アンデルセンサービス(広島市中区)は、「流通ビジネスメッセージ標準(流通BMS)」に対応したパッケージソフトウェア「UJX」をIaaS/PaaS「Amazon Web Services」上に構築、2012年9月から稼働させている。システムを構築したノーチラス・テクノロジーズが3月6日に発表した。
アンデルセンサービスは、パンを販売する小売り直営店舗「アンデルセン」などを運営するアンデルセングループのシェアードサービスをグループ内に提供している。アンデルセンサービスは、小売業への販売業務でUJXを利用した流通BMSシステムを導入、2008年1月から運用している。
流通BMSは、流通業界の電子データ交換(EDI)の標準規格。2007年に発行されている。総合スーパーや食品スーパー業界で主流とされている取引業務プロセスに基づいて策定されている。
アンデルセンサービスはUJX導入から5年が経ち、ハードウェアの老朽化による保守サポート面での不安を抱えていた。流通BMSでの接続先数と取引量が増加し、ハードウェアの性能低下が問題となり、システムの更改が課題となっていた。
5年前に構築した流通BMSシステムはUNIX上に構築。機器更新時期が迫っていた。部品供給の問題に加えて、クラスタやUNIXのミドルウェアといった保守料、ネット回線やネットワーク機器の環境を自前で用意するなどの課題が山積していたとし、安定性をとりながら、コスト低減を両立させる案を探っていたと説明している。
ノーチラスは、アンデルセンサービスの流通BMSシステムをAWS上で構築した。AWSの「Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)」「Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)」「Amazon Virtual Private Cloud(VPC)」の3つを活用している。新たにハードウェアを購入することなく、1カ月半という短期間で流通BMSシステムの環境を構築できたという。
アンデルセンサービスは、AWSを使用することで機器の調達から構築の短期化、ネットワーク回線、負荷分散装置(ロードバランサ)の外部サービス化が図れたとしている。UNIXからWindowsへのアプリ設定移行に専念でき、短期での移行と安定した環境が構築できたと、今回の対応策のメリットを挙げている。
ノーチラスは、AWS上で稼働している流通BMSシステムを24時間365日体制で監視している。アンデルセンサービスは運用フリーの業務体制を確立したことで、AWSを企業IT業務基盤として使用できる自信がついたと意気込んでいる。
AWS上に構築した流通BMSシステムは、調達側のシステムとしても利用している。アンデルセンサービスは、小売業への販売業務だけではなく、原材料メーカーからの調達業務もあわせた“調達から販売まで”の流通BMS化を実現しているとメリットを説明している。