IaaS上に移行するアプリケーションを選び出す
あなたの会社では、自社のアプリケーションやサービスをしっかりと定義したカタログが用意されているだろうか?自社のサービスカタログについて明確に理解しておくことで、どのアプリケーション層やインフラ層がクラウドに移行可能か、自信を持って決断できるようになるはずだ。
クラウド管理プロバイダーRightScaleのオーストラリア支社のマネージャーであるGiri Fox氏は、候補となるアプリケーションをふるいに掛けるための条件を用意しておくことが重要であるとたびたび述べている。
「既にイントラネット上にあるウェブアプリケーションなどは、どのような条件でも真っ先に候補に挙がるはずだ。また、下層インフラの検討時には、ユーザー認証やアクセス制御、検索、レイテンシに対する受容度、システム間のデータ転送量といった条件が含まれる」(Fox氏)
運が良ければ、いくつかの目ぼしいアプリケーションが見つかるはずだ。そして、こういったアプリケーションがミッションクリティカルなものでなく、またシステム間の依存性が著しく低いものとなっているのであれば、一般的にはそれがクラウドというインフラに最初に移行する理想的な候補となるはずだ。
突発的な問題の発生に備えて対処方法を用意しておく
クラウドでも問題は発生するという前提で設計を行っておく必要がある。例えば、少し前に発生した「Windows Azure」の大規模障害時であっても、クラウドが障害を起こす可能性を考慮していれば何も困ることはなかったはずだ。また、「Amazon Web Services」(AWS)でも同様である。
複数の地域やデータセンターに置かれたサーバインスタンスにコピーを用意しておくなどのバックアップ戦略により、いくつかの地域やクラウドサービスプロバイダーで障害が発生した場合でも、問題がないようにしておくわけだ。
災害復旧戦略は、突発的障害に備えた計画の一部として用意しておくべきである。多くのクラウドサービスプロバイダーは、クラウド内の物理マシンや仮想マシンを数分で復旧できるような災害復旧手段を用意しているが、停止時間が無駄に長引かないように、サーバプロセスのバックアップを用意しておくことが重要だ。
ベンダーのリスクマネジメントを理解しておく
多くの企業は、バラ色の眼鏡を通してクラウドベンダーを見る結果、通常はベンダーの適格性を判断するプロセスに含まれるはずの厳しい質問をせずに終わってしまう傾向にある。
過去にはどういった障害が発生しているのだろうか?サービスの利用をやめる場合、クラウド上にあるデータはどのようにして取得できるのだろうか?取得できる場合、データのフォーマットはどのようなものになるのだろうか?サービスはそれ自体のAPIを用いて拡張できるのだろうか?データの漏えいや消失が発生した場合にはどうなるのだろうか?このようなリスクを軽減するために、クラウドプロバイダーはどういったプロセスを用意しているのだろうか?
これらの質問は、適切なクラウドプロバイダーを選択する際の全体的な基準の中で、大きなウェイトを占めているべきである。