デザインの基本原理が大きく変わりつつある。ナノテクノロジやバイオテクノロジの原理を採用した、材料や生産手法の新たな展開によるものだ。
現在のところ、新世代の積層造形法による3Dプリンティングは、いくつかの種類のプラスチックと柔らかい金属を消耗材料として使い、CADファイルからオブジェクトを作り出すことに限られているが、4Dプリンティングには大きな可能性がある。
4Dプリンティングでは、ナノバイオテクノロジーの進歩がマクロ規模で応用され、時間の経過とともに形を変えるようにプログラムすることができる新素材が用いられる。私は3月第2週初め、Autodeskでバイオ・ナノ・プログラム可能物質グループのリーダーを務めるCarlos Olguin氏に会い、同13日にはMITのSkylar Tibbits氏、StratasysのDaniel Dikovsky氏と話し、この新たな産業がどのように生まれようとしているか、関係者がどのように協力し合っているかを探った。
4Dプリンティングの第4の次元は、水や空気に触れたり、温度変化にさらされたりすると、時間の経過とともに変形や変化を起こして自己組織化する材料のことを指す。4Dオブジェクトのフォーマットには、設計者が作成に使う材料の性質を定義することができるAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)が用意される見込みであり、洗練された化学的キャリブレーションを用いてプリントして、特定の特性や機能を持たせることが可能になるだろう。
1970年代に起こった「Homebrew Computer Club」(初期のコンピュータを趣味とする人々の集まり)の活動からDOSや初期のPCが生まれた頃のように、この新しい「4D」のフロンティアにも(現代の4Dのコンセプトを初めに考えたのは、Skylar Tibbits氏だ)、興味深いプレイヤーが参加している。Autodeskは、生命科学の分野で大きな存在になりつつあり、ナノスケールでのデザインツールを提供している。これらは、建築設計にも機械設計にも使える同社の普遍的なデザインツールから派生したものだ。同社は現在、ミクロの世界がマクロの世界に影響を与えることに気づいている。また学術分野も、この揺籃期にある産業の最前線でAutodeskを初めとする企業と協力し、コーダーやデザイナーが利用できる標準やAPIを作ることでこの分野を普及させようと努めている。