ブリッジ人材の育て方

第3回 ブリッジ人材の発掘、育成方法とまとめ - (page 2)

豊田貞光(産業能率大学総合研究所)

2013-04-08 11:57

東アジアで求められるのはリーダーシップ

 日本の国際社会における存在感は日に日に弱まってきている印象もありますが、東アジア諸国からすると日本は依然として先進国であり、憧れの対象でもあります。「日本人の指導を受けたい」「日本人から学びたい」という意識も少なからずあります。

 東アジアでの調査で実感したことですが、だからこそ新興国では誰かの下で働くスタッフではなく、自らがリーダーシップを発揮し、行動するマネジメントが求められます。

 コミュニケーションにおいては英語力を磨くだけでなく、英語、現地語、日本語を交えてでも伝えようとする姿勢が重要です。さらに現地の状況を日本本社に的確に説明(ホウ、レン、ソウ)できること。専門性は、領域固有の専門知識は必須ですが、会計、マーケティング、ICT、心理学など日本国内に限らずどこでも通用する知識、スキルを磨くことが大事です。

 つまり、上に立つ責任を行動力で示していけるだけのリーダーシップ(チームスポーツで言うキャプテンシーのようなもの)が強く求められます

おわりに オフショア開発とブリッジ人材のまとめ

  • これからもIT企業は、コスト削減、リソース確保を求め国別ポートフォリオのオフショア開発が進む。課題となるコミュニケーション、仕様伝達と変更管理、プロジェクト管理問題などの解決に向けブリッジ人材の能力開発や経験知の見える化が鍵となる。
  • ブリッジ人材とは「語学+専門性+α」。+αの主要素は次の2つ。(1)4つの思考スタイル(立案型、序列型、評価型、巨視型)を駆使する。この思考特性はベテランコンサルタントの思考スタイルと近似。(2)高いレベルで価値観、考え方、行動特性を受容し、問題解決してきた経験知を駆使する。
  • 高業績ブリッジ人材の発掘、育成方法のポイントは次の3つ。(1)入社1年目に1カ月程度のプチ海外体験を積むこと。(2)4つの思考スタイルを軸に能力開発支援すること。(3)入社10年までに国内、国外でプロマネ経験を積ませ、リーダーシップスキルを開発し、マネジャー予備軍育成を実行すること。

豊田貞光
産業能率大学総合研究所 主席研究員
民間企業でマーケティング部門等に従事、89年産業能率大学総合研究所入職。知識創造理論、人的資源管理論を基盤にIT化と暗黙知共有モデル構築、中国オフショア開発プロジェクトの経営指導など実践。ITスキル標準(ITSS)のツール開発にもかかわる。研究論文の発表多数。資格等:ITコーディネータ、博士(知識科学) 。

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