ビッグデータの価値
クラウドの波に続き、現在巷はビッグデータ一色。ストレージに蓄積されるデータはメディアでは動画、写真データの高画質化によってだけでもなくEコマースやウェブ上のユーザの動向や閲覧・購買履歴、その他ライフログによって増大しています。
毎日エクサバイト(EB)、さらにはゼッタB(1000EB)というレベルでデータが新たに生まれ、ビッグデータを操るデータサイエンティストと呼ばれる謎の人物がビジネスを変えるのではと大騒ぎです。
※クリックすると拡大画像が見られます
さて、前振りはここまでにして、いったん第1回「デジタルメディア革命」は音楽から始まった」と第2回「音楽とは違う--動画ビジネスをリードするのは個人ユーザー」で触れた話題に戻ります。どうすれば人はもっと音楽や映像を楽しむようになるのでしょう?
これは根本的な問いです。
ビデオが普及する前は、映像は映画館で見るか、テレビでリアルタイムで見るしかありませんでした。音楽も映像情報がなかった時代はレコードのジャケットや雑誌に載った写真からアーティストを想像するしかありませんでした。
今はどうでしょうか。YouTubeには音楽映像があふれ、無料で視聴できますし、安価かつ定額料金で映画、ドラマは見放題、さらに外出時には続きをスマートフォンでも楽しめます。
2002年、アーティストのDavid Bowie氏は“音楽の著作権は10年後には存在しないでしょう。音楽は水のような存在になるのです。(Music itself is going to become like running water or electricity)”と言いました。(2002年6月 NY Times記事より)
確かにコンテンツは水のように簡単に手に入るようになりました。しかし実態は、コンテンツがあふれかえる時代に人はコンテンツを楽しんでいるのかと言えば、水のように流れるコンテンツに慣れてしまい、感動や満足感から遠ざかっているのではないでしょうか?
情報に埋もれ溺れる時代
動画はあちらこちらに点在し、高画質化によりデータ量は増え、周辺情報である人の行動を記録するライフログはインターネットという仕組みにより、ありとあらゆるウェブ上のサイトから収集されています。
ライフログはビッグデータの1つの要素であり我々の生活や体験をブログ、SNS、ホームページなどの能動的な情報発信によって記録された文字、映像情報としての情報、ITで処理した決済であれば購買履歴、ホームページ上の行動履歴、GPSを活用した実際の行動履歴まで多岐にわたるデータの山です。
怖いのはライフログの情報源は、無意識のうちに収集されていることがほとんどであることです。恐ろしい量の情報が刻々と蓄積されているのが今なのです。David Bowie氏の言うように情報が水に例えられるとすれば、われわれは洪水に飲み込まれ溺れている状況に似ていると言えるでしょう。