IDC Japanの国内データセンター新設投資予測によると、2012年のデータセンター新設投資は前年比11.5%増の2157億円と大幅な増加となった。東日本大震災後に情報システムの災害対策強化で、データセンターを利用する動きが活発化しているためと説明している。
調査は、クラウド事業者などのITベンダーのデータセンター(事業者データセンター)と金融機関や製造業などの一般企業のデータセンター(企業内データセンター)の両方が含まれている。新設投資を急増させたのは、事業者データセンターだ。
2012年の事業者データセンターの新設投資は前年比15.5%増の1313億円。累積延床面積も2012年の1年間で9.6%増加して170.5平方メートルに達したと予測している。
金融機関や製造、流通などのユーザー企業は、情報システムの災害対策強化で自社のデータセンターを新設するよりも、設備やサービスの優れた事業者データセンターに運用をアウトソーシングする傾向が強まっている。クラウドサービスの利用拡大も理由となっている。
企業内データセンターでも一部の大手金融機関や製造業などでデータセンター新設投資が拡大しているが、アウトソーシングやクラウドサービスの利用へ移行する傾向が強いため、事業者データセンターの投資に比べると、拡大は遅い傾向にある。2012年の企業内データセンター新設投資は前年比5.8%増の844億円にとどまっている。
事業者と企業内を合計したデータセンターの新設投資は今後も増加傾向であり、2012~2017年の年平均成長率(CAGR)は3.4%、2017年の投資額は2552億円に達すると予測している。このうち事業者データセンターの投資拡大が顕著であり、2012~2017年のCAGRは4.4%になるとみている。
IDC Japanは、災害に強いデータセンターの需要が高まると同時に、電気料金の値上がりやアウトソーシング市場の競争激化でデータセンター建設コストの削減ニーズも高まっていると説明。同社の伊藤未明氏(ITサービスリサーチマネージャー)は「データセンターの建設にあたる建設事業者は、高スペックなデータセンターを低コストで建築するという、難しい課題に取り組むことが求められている」とコメントしている。