今後、POSソリューションベンダーの取るべき戦略は次のようなパターンに分かれるだろう。まずPOS専用機ベンダーに関しては、次の通りである。
グローバル展開による世界市場開拓
競合環境の激しい国内にとどまらず、海外の需要を獲得していく。課題となるサポート体制構築のためには、現地でのパートナーとのアライアンスや、M&Aも視野に入れる必要がある。
国内市場に特化、市場占有率獲得
自社ユーザーの確保は当然ながら、競合他社ユーザーの奪還、撤退メーカーのユーザーの獲得などを同時に展開しなければならない。差別化のためには、コストだけではなく、やはりハードでの差別化が期待される。
市場の裾野拡大
前述の通り、従来のECRの市場が、今後の主戦場となる可能性が高い。この市場に参入するためには、従来とは異なる事業モデルが必要になる。タブレットなどの端末への対応やクラウド、SaaS化、あるいは廉価なPCベースのハード単独機などの展開も検討すべきであろう。
また、POSソフトメーカーに関しては、それぞれのターゲット業界に特化して、多様なサービスに対応していくことが重要になる。主なテーマは、次のような点であろう。
多様な端末、OSへの対応
タブレット対応は現在最もホットなニーズである。できれば、iOS、Android両方に対応していくことが望ましい。また、専用機メーカー向けにとどまらず、汎用的に廉価な端末への対応によって市場の裾野への展開が期待される。
販売促進機能の強化
POS機能にとどまらず、顧客管理機能やポイント管理、ECとの在庫連動など当該市場における顧客層のニーズにマッチする、販売拡大のための機能の装備が期待される。最近ではO2O対応、ソーシャルネットワークを生かしたマーケティング機能の強化などが優先課題となる。
クラウドコンピューティング対応
急速に進展しているクラウドベースの展開が期待される。市場は急速にSaaS化が進んでおり、パッケージの競合がSaaSである場合も少なくない。また、提供する機能もSaaSベースであれば適宜強化していくことができ、顧客ニーズへの適合もスピーディに行えるだろう。
- 野間博美
- 株式会社矢野経済研究所 情報通信・金融事業部(YanoICT) 主席研究員