ITが円滑になれば世の中が円滑になる--CA Technologies内藤社長

五味明子 2013年05月23日 20時28分

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 外資系ITベンダー、とりわけエンタープライズ向けに製品やサービスを提供するベンダーの場合、かなりの事業規模にもかかわらず、その会社がどんなサービスや製品を提供しているのか、どんなビジネスをどんな理念でもって展開しているのか、ITにかかわる人以外が知る機会はあまり多くない。

 特に今後、クラウドが社会に広く浸透し、モバイルで誰もがどこからでもインターネットに接続するスタイルがますます一般化すると、ITのインフラ化は一段と進み、水道や電気のように「使えて当たり前」の存在になる。そうなったとき、エンタープライズITをビジネスとする企業の名前はさらに一般の人から見えにくくなるかもしれない。

日本CA内藤社長
日本CA内藤社長

 「だからこそエンタープライズITを提供する企業は、社会を支える“縁の下の力持ち”という意識を持ってビジネスに当たるべき」と強調するのは、米CA Technologiesの日本法人、内藤眞社長だ。

 長年にわたって国内外のエンタープライズ向けIT企業で経営にかかわってきた内藤氏は2012年11月、CAの社長に就任した。米ラスベガスで行われた「CA World 2013」の会場で、内藤氏にインタビューした。ここでは、その内容を伝える。

――これまでのキャリアを簡単にお聞かせください。

 最初に入社した企業はソニーです。まだ「ベータマックス」(ソニーが開発したビデオテープレコーダーの規格)が業務用ビデオのシェアを持っていたころで、英BBCにも採用されるなど勢いのある時代でした。業務用ビデオストレージをはじめ、ソニーではさまざまな事業を担当し、特にミッションクリティカルな分野にかかわる経験を多くしました。

 「オンエアで絶対に落ちるようなことがあってはならない」など、緊張感のある仕事をしていたことで相当鍛えられました。ゲームの「PlayStation」事業ではあの久夛良木さん(久夛良木健氏)の下で働いていたこともあります。

 その後は、Akamai、NTTコミュニケーションズ、Candleなどで働きました。キャンドルの日本法人社長を務めていた2004年、同社がIBMに買収されたのでそのまま日本IBMに移籍しました。キャンドルは主にメインフレームの管理用ソフトウェアを開発していた企業で、今で言えばCAの競合という位置づけです。

 その後APCに移籍し、日本法人の社長を務めていましたが、今度は2009年にAPCがフランスのSchneider Electricに買収されたため、しばらくはSchneiderの日本法人社長も兼任していました。エネルギーマネジメントのトップ企業であるSchneiderがITインフラを熟知しているAPCを買収したのは良い判断だと思いました。エコシステムを拡張するというのはこういうことなのか、と学びました。

 2001年2月からはDellの北アジア地域におけるジェネラルマネジャーとして、ソフトウェアビジネスを担当していました。特にラージエンタープライズ部門ではこれまでのキャリアを生かし、ラージ・エンタープライズ・パブリック統括営業部の統括本部長を務めていました。Dellが単なるPCメーカーからソリューションベンダーに飛躍しようとしていたときに、エンタープライズソリューションでの知見を生かせたのは良い経験でした。

――2012年11月に日本法人のトップに就任したわけですが、この半年間を振り返ってCAをどう評価していますか。

内藤氏: 素晴らしい技術を本当にたくさんもっている企業です。そのかなりの部分を買収によって獲得しています。代表的な製品でいえばバックアップソリューションの「CA ARCServe」、アプリケーション開発支援の「CA LISA」なども買収した企業の技術がもとになっています。ソフトウェアビジネスにとって最も重要なのはIP(知的財産)を増やすことです。効率的にIPを増やしていくためには、企業買収という戦略の優先順位が高くなるのは必然だと思っています(注: このインタビュー後、CAはデプロイ自動化ソリューションの「Nolio」とAPIマネジメントの「Layer 7」の買収を発表した)。

――最近1つのテーマとして、ソフトウェアとハードウェアを1つのきょう体に統合して大規模な処理をこなす「垂直統合モデル」が注目されています。CAとして、この分野に参入する可能性などはありますか?

 ありません(笑)。われわれは「メインフレームからクラウドまでをソフトウェアで支援する」という理念を持っているため、ハードウェアを含む垂直統合ビジネスは考えられません。

 それよりもクラウドがこれからますます一般化するにつれ、エンタープライズITはより複雑になる可能性が高い。特に日本や米国のようにレガシーシステムが数多く残る市場では、複雑なITが経営を圧迫する要因になりかねません。そうした障壁を取り除き、企業がITで苦労している部分をソフトウェアでやわらげることがCAの使命です。

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