デスクトップに最適なディストリビューション
時は移り、最近では大企業もLinuxをデスクトップに使用することのメリットを理解し始めている。そうするだけの理由は十分ある。Linuxは安全で、信頼性が高く、性能も非常に高く、コストパフォーマンスもよい。選ぶべき企業向けのデスクトップを出しているのも、当然Red Hat(Red Hat Enterprise Desktop)やSUSE(SUSE Linux Enterprize Desktop)だと考える人もいるかもしれない。しかしこれらのデスクトップは、サーバほどは出来がよくないように私には思える。この分野には、エンドユーザーの働き方を完全に変えてしまった、新たなプレイヤーが存在する。それは、「Chrome OS」だ。
Chrome OSが狙う絞り込まれたモデルでは、企業のIT部門が、ずっとシンプルなプラットフォームを用いた、高い信頼性で機能するエンドユーザー向けのデスクトップを配備することができる。これを考えると、Chrome OSは筋の通った選択だ。ウィルスについての心配も減り、エンドユーザーが本来の業務の範囲を超えてアプリをインストールする懸念もなくなる。Google Appsとのシームレスな統合を考えれば、Chrome OSを選択するのは合理的だ。そして、Chrome OSの背後にGoogleが付いている以上、このOSが今後も力強く成長していくことは確実だ。
適する用途
- Google Appsだけを使うデスクトップユーザー
- ウェブベースのツール利用
エンタープライズ向けデスクトップの次点候補に驚く人はいないだろう。次の候補は「Ubuntu Linux」だ。しかし、オープンソースコミュニティの一部から嫌悪されているにも関わらず、Ubuntuを挙げるのはなぜか?Ubuntuをこのリストに入れたのには、いくつかの理由がある。Ubuntuをこのエンタープライズ向けデスクトップの短いリストに入れておくべき一番の理由は、そのビジョンだ。Mark Shuttleworth氏とCanonicalが下した選択については、いろいろな思いを持っている人がいるが、Googleを除けば、Linuxを一般ユーザーに近づけるのにもっとも大きな役割を果たしたのがUbuntuであることは、誰にも否定できないはずだ。これを実現するため、Ubuntuには多くのプロフェッショナルな改善が施されてきた。それらの努力、目標の絞り込み、改善の作業は、プロフェッショナルでビジネスに利用できる水準の、一般利用者向けデスクトップという形で結実した。Ubuntu PhoneとUbuntu Tabletが登場した暁には、これらはあらゆる種類のエンドユーザーに役立つ、統一プラットフォームとなるだろう。
適する用途
- デスクトップユーザー
- モバイルユーザー
- パワーユーザー
- 開発者
もちろん、異論がある人もいるだろうが(Linuxに関しては、異論は常に出るものだ)、これが私の選んだエンタープライズ向けのリストだ。デスクトップには、もっといいディストリビューションがあると主張する人もいるだろうし、Linuxは企業で使える水準に至っていないという人もいるかもしれないが、トレンドはウソをつかない。大企業はそれを分かっている。Red Hat、SUSE、Google、Canonicalもそれを理解している。最終的には、大企業で人気を得るのはこれらのディストリビューションだろう。そして、中小企業にまでこの流行が及んでいくのは、時間の問題に過ぎない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。