グーグル「企業向けサービスは個人向けより強固で情報共有を細かく設定可能」

三浦優子 2013年07月18日 08時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 グーグルは7月17日、エンタープライズ事業の進捗状況の説明会を開催した。米Googleエンタープライズ担当社長のAmit K Singh氏が説明した。

 Singh氏は、米国ではFortune 500の58%、国内では富士フイルムや全日本航空(ANA)、クボタなどの大企業から中小企業、スタートアップ企業など幅広いユーザーが有料のサービスを利用していると説明。「Googleはコンシューマーの世界で机に縛られず、どこでも情報を利用できる環境を提供することに成功した。そのパワーをエンタープライズの世界にも提供している」とエンタープライズ分野でもGoogleが活用されていると自信を見せた。

 日本でコンシューマー向けサービスを利用し、情報が漏洩した事件について「エンタープライズサービスはもっと細かく情報公開の設定が可能で、安全な環境の中でやり取りが行える」と情報漏洩の危険が少ないことを強調した。

中小から大規模のすべてに対応

 Singh氏はエンタープライズ向けのメリットとして(1)Connect=共同作業でつながる、(2)Visualize=データの可視化、(3)Build=クラウドプラットフォームの活用、(4)Find=どのシステムでも最適な情報を検索、(5)Access=どのデバイスからでも――という5つを挙げた。

 具体的な事例として、フィリピンの携帯電話キャリアは「Google Maps」上に現在、どの地点で通話が行われているのかを可視化。通話が多く行われている地域を把握し、基地局開設計画に利用するといった使い方を行っていることや、Fortune 500のうち58%がユーザーであるとアピールした。


米Google エンタープライズ担当社長 Amit K Singh氏

 「日本での先駆け的に(SaaSの)“Google Apps”を採用したソフトバンクをはじめ、クボタや富士フイルムはグローバル事業展開用にGoogle Appsを採用している。クラリオンはコンシューマーにサービスを提供するために、カーナビゲーションシステムの中にGoogleマップとわれわれの検索技術を搭載して提供している。ANAでは現在、全社的にGoogle Appsを採用するために移行作業を進めている。この移行によって、パイロットは重い紙のマニュアルを持つことなく、タブレットに入れた情報を利用することができるようになった」(Singh氏)

 事例として紹介されることが多いのは大企業ばかりだが、「中小企業でも導入されている」ことをSingh氏はアピールした。

 従業員20人というシージェイシステムでは、ファクスで届く注文書をデジタルデータ化し、それを社内で共有するためにGoogle Appsを採用した。従業員50人程度という中館建設では、Googleマップ上に情報を展開し、自分たちのトラックの現在地点を社内全体で把握し、業務を効率的に展開する際に利用しているという。

 スタートアップ企業の事例としては、ゲームソフト開発のApplibotでは自分たちでサーバなどインフラを持たず、PaaS「Google App Engine」を採用。開業当初の数人体制から200人体制となった現在でも、社員全員がサーバ管理業務に携わることなくゲーム開発に従事しているという。

 GoogleはIaaS/PaaS「Amazon Web Services(AWS)」を後発として追いかける立場となるが、「Amazonが素晴らしいサービスであることは承知しているが、われわれはユーザー企業に選択肢を提供する。そしてわれわれのサービスは、われわれのデータセンターの一部を提供している。そこからもわかる通り、規模とコストメリットも提供できる」と後発ではあるが、IaaS事業を展開することに意味があると強調した。

 日本ではGoogleのコンシューマーサービスを利用したことで官公庁や大企業の情報が漏洩していることが明らかになったばかり。その点については、「コンシューマーサービスについて言及する立場にはない。だが、エンタープライズビジネスの責任者として、エンタープライズサービスのセキュリティはコンシューマー向けに比べてもっと強固で、柔軟に情報共有者を細かく設定できる」とエンタープライズ事業では、同様の情報漏洩事故は起こりにくいことを訴えた。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
IT部門の苦悩
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
「企業セキュリティの歩き方」
「サイバーセキュリティ未来考」
「ネットワークセキュリティの要諦」
「セキュリティの論点」
スペシャル
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
より賢く活用するためのOSS最新動向
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
米株式動向
日本株展望
企業決算