2014年は、コンピューティングの世界の大黒柱であるメインフレームの誕生50周年にあたる。
IBMは1964年に、互換性がありアップグレード可能な最初のコンピュータである「System/360」を発売した。これはつまり、それ以前のすべてのコンピュータはそれぞれ違うものであったのに対して、System/360は他のSystem/360と同じ動作をしたということだ。
メインフレームは時の試練を耐え抜いてきている。しかしこのクラウドコンピューティングの時代になっても、メインフレームが必要な場面はあるのだろうか?
たしかに、IBMのユーザーグループであるSHAREは、今でもメインフレームには将来があると強く主張している。SHAREのメンバーであるJanet Sun氏が、同グループの機関誌に書いた記事によれば、このユーザーグループには、世界中の2000近い企業の2万人の個人メンバーが参加しており、さらに次のような数字が挙げられている。
- 世界の銀行の上位100行のうち96行、米国の小売企業トップ25のうち23企業、そして世界の保険会社トップ10のうち9企業が、IBMのSystem zシリーズのメインフレームを使用している
- 世界のFortune 500企業の71%が、System zの顧客である
- 世界の生命保険会社トップ10のうち9企業が、大量のトランザクションをSystem zのメインフレームで処理している
- メインフレームは「大手クレジットカード会社のトランザクション、株取引、送金、製造プロセス、ERPシステム」を含む、1日当たり約300億件のビジネストランザクションを処理している
これらの数字を見る限り、今でもかなりの数のメインフレームが使用されており、多くの処理をこなしているのは確かだ。しかし、今では時代遅れになっているのではないだろうか?
Sun氏は、そうではないと述べている。「自動車は誕生してから100年になるが、自動車が古くて時代遅れなテクノロジだなどと言う人はいない」と同氏は指摘する。そして、Sun氏によれば、今日の自動車が100年前のものとは違っているように、今日のメインフレームも以前のものとは違っている。
2010年に販売された最新のメインフレームは、先代よりもトータルでのシステムパワーが50%向上しており、「とても古い技術とは言えない5.5GHzのヘキサコアチップを使用し、120コア、メモリ3テラバイトまで拡張可能で、60年代に利用できたあらゆるシステムよりも明らかに容量も大きく速度も高速で、サイズも小さくなっており、エネルギー消費効率も向上している」という。
また、メインフレームを支持しているのは、メインフレームのファンばかりではない。