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松岡功の「今週の明言」

インターネット宣教師が語る「戦争」の懸念

松岡功

2013-08-16 11:45

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、IIJの鈴木幸一 代表取締役会長と、NEC 川島勇 取締役執行役員兼CFOの発言を紹介する。

 「インターネットは無限の可能性がある一方、制御できない危険性もはらむ。それを踏まえて社会のあり方を考えていく必要がある」(IIJ 鈴木幸一 代表取締役会長)


IIJの鈴木幸一 代表取締役会長

 インターネットイニシアティブ(IIJ)が7月29日に開いた記者懇談会で、6月26日付けで社長から会長に就いた鈴木氏が、同社の新体制や事業展開、情報通信業界の今後の潮流について講演を行った。同氏の冒頭の発言は、その講演でインターネットが今後、社会にもたらす影響力の大きさを訴えたものである。

 国内初のインターネットプロバイダーであるIIJを設立し、日本でのインターネットの宣教師役を果たしてきた鈴木氏。今回の講演は記者懇談会の一部で20分ほどの短いものだったが、それでも同氏のインターネットへの思い入れを十分に感じることができた。

 まず、日本でのインターネット活用の現状については、「インターネットは日本でも多くのユーザーが自在に使えるようになり、さまざまなビジネスがネット上で展開されるようになってきた」と語りつつも、「行政サイドの取り組みや産業全体への広がりにおいて、まだまだ無限の可能性がある」との見方を示した。

 一方で、同氏はインターネットに対する懸念として「制御できない危険性」を挙げた。代表的なのはセキュリティ問題だ。とくにサイバー攻撃などは、今や国同士の関係を揺るがす問題ともなりつつある。同氏はこんな例え話をした。

 「鉄道ができたとき、人々はその利便性に拍手を送った。鉄道が起こしたイノベーションは、時間と空間を大きくまたげるようになったことだ。だが、その鉄道が戦争の規模を拡大させたとの見方もある。同じようなことがインターネットをベースとした情報通信の世界にも言えるのではないか。そうした懸念を払拭するためにも、日本をはじめ世界のあらゆる国々がネット利用の本質を見極めたうえで、それに対応した社会のあり方を考え、必要な仕組みを構築していかなければならない」

 この指摘は胸に迫るものがあった。鈴木氏がこのほど財務省前事務次官の勝栄二郎氏をIIJ社長に招いたのも、こうした思いが背景にあったからのようだ。

 「米国では今や情報通信産業がメインインダストリーになっている。日本も早晩、そうなるだろうし、そうしていかなければいけない。そのためには、勝さんが持つ見識や仕組みごと変えていく発想が必要になる。これからIIJが、さらには日本の情報通信業界が取り組むべき方向性を、技術屋の発想ではないところから広げていってもらいたい」

 鈴木氏は勝氏への期待をこう語ったが、このメッセージは日本の情報通信業界全体に向けたものでもある。

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