マイクロソフト「新たな組織再編」の可能性は?
後継CEO選定以外に、今後の「ニュースの見所」としてすぐに思い浮かぶのは2つ――1つは近い将来、再び大規模な組織再編があるか、という点。
8月末に発表されていたMicrosoftとValueActとの「協力合意」のニュースのなかでは、来年初めにもMason MorfitというValueActの幹部がMicrosoftの社外取締役に就任する可能性が高まった、と伝えられていた。
・Microsoft Signs Pact to Cooperate With Activist ValueAct - Bloomberg
このBloomberg記事によると、ValueAct側ではMicrosoftに対し、海外滞留金を株主に還元することを求めているほか、同社の事業戦略に関して、主に法人向けのビジネス――企業向けソフトウェアやクラウドサービスなどに注力することを望んでいるという。
この線で考えると、真っ先にしわ寄せを受ける可能性が高いのがXboxを核とするエンターテインメント事業で、実際にそうした可能性(Xbox関連事業の分社化の可能性)が高まったとする見方も出ていた。
・Xbox Spinoff Seen More Likely With Ballmer Exit: Real M&A - Bloomberg
以前に記した通り、Xboxは米国などを中心に人気を集め、今では「独り立ち」できる状態にある。このBloomberg記事には「年間売り上げ70億ドル、事業の評価額は170億ドル以上(の可能性)」などと記されている。
ただし、Microsoftは7月の組織再編で、ハードウェアとソフトウェア、サービスを「横串」状に切り分ける組織の形になっている。現在のXbox関連の責任者を務めるのは、Steven Sinofskyの後を受けてWindows関連の共同責任者になっていたJulie Larson-Greenで、Devices and Studiosというくくりで、Surface関連なども担当。そして、長らくXboxチームを率いてきたDon Mattrickは組織再編が発表される直前に、オンラインゲームのZyngaに移籍していたから、部門切り離し(分社化)となれば、有力なリーダーを探し出さなくてはなくなる。
また、ElopはもともとMicrosoftで法人向け事業の責任者も務めていた人物。その点ではValueActの求める路線と合致する人材と言えそうだが、古巣に戻って自分が担当することになるXboxの事業に関してどう考えているかは、今のところ明らかでない。
自動車関連分野はどうなるか
今回の買収発表では、モバイル端末関連のほか、Nokiaの地図(位置情報)サービス「HERE」(旧Navteq)関連のライセンス契約も発表されている。
Nokia HERE関連では先ごろ新サービスの発表があったばかりだ。
・ノキア、「HERE」ブランドの自動車向けクラウド統合サービスを発表 - CNET
そして、この発表の数日前に出ていたGigaOMの記事には、Nokiaがこの分野で単に車載ナビゲーション(地図関連)サービスだけでなく、いずれは自走車(自動運転車)関連の技術を提供することも狙っているとある。
・Forget tablets. Nokia has a bigger connected gadget in mind: the car - GigaOM
「GoogleやAppleが相手だと“おいしい”ところを持って行かれかねない」と危惧する自動車メーカーにとって、Nokiaは「自らの意向に合わせてくれる相手」などという説明もある。MicrosoftはすでにFordなどに車載OSを提供してるから、Nokiaとの結び付きをさらに強めることで「Google Car」と競合するような立ち場に、あるいはつけるようになるかもしれない。
(本文敬称略)