IDC Japan は9月12日、国内ITサービス市場におけるベンダー競合分析結果を発表した。これによると2013年3月期は主要ベンダー13社の内、10社がプラス成長を遂げ、業績回復の傾向が見られた。一方で10%を超える成長率のベンダーはなく、市場の低成長化を反映した結果となった。
IDCは、富士通、大塚商会、新日鉄住金ソリューションズ、東芝ソリューション、SCSK、日本ユニシス、日本HP、伊藤忠テクノソリューションズ、野村総合研究所、ITホールディングス、日本IBM、NTTデータ、日立製作所、NECの14社を国内主要ベンダーと定義している。
2013年3月期の国内主要ベンダーのITサービス売上高は、売上高1000億円超の14社のうち、2012年10月に経営統合により発足したため前年度比較ができないSCSKを除く13社中10社で前年度比プラス成長となった。
5%を超えたベンダーは野村総合研究所、新日鉄住金ソリューションズ、大塚商会の3社だった。「野村総合研究所が伊藤忠テクノソリューションズを抜き7位に上昇した以外には、2012年3月期から順位の変動が見られず順位が固定化する傾向がある」(IDC)
システムインテグレーションなどの案件ごとの契約によるITサービスを含むプロジェクトベースでは、老朽化したシステムの刷新やITインフラの構築といった案件がベンダーの業績を支えたと説明した。
ITアウトソーシング分野では、BCP(ビジネス継続計画)/DR(ディザスタリカバリ)需要を背景としたデータセンターアウトソーシングの利用拡大が2012年から継続したという。また、企業や企業グループのIT部門やIT子会社の役割そのものを外部のITサービスベンダーにアウトソーシングする「包括的アウトソーシング」の顧客拡大も一部のベンダーで見られた。一方、保守サービスを中心とするサポート&トレーニング分野は、マイナス成長となったベンダーの数がプラス成長のベンダーを上回ったという。
産業分野別にみると、分析対象とした、金融、製造、流通、通信/メディア、政府/公共、その他産業の6つの分野のうち、大手顧客による投資抑制の影響があった金融業向けを除く5分野で、プラス成長のベンダー数がマイナス成長のベンダーを上回ったとした。
IDCは「ベンダーはユーザーに対し既存ITの変革を進め、効率化により浮いたコストや人的資源を競争力強化のための新たなIT投資に回す事を提案している」とコメントしている。
国内ITサービス市場:主要ベンダーのセグメント別売上高、2013年3月期 ITHD=ITホールディングス、NRI=野村総合研究所、CTC=伊藤忠テクノソリューションズ、NS Sol=新日鉄住金ソリューションズ、TSOL=東芝ソリューション IDC定義に基づく、グループ外企業向け、連結ベースのIDC推定値 ベンダーの決算期にかかわらず、2012年4月~2013年3月(2013年3月期)の12カ月間における売上額