クラウドの興隆とIT部門の衰退--IT部門の役割を再考する - (page 2)

Thoran Rodrigues (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2013-09-20 07:30

オーナーから管理人へ

 筆者は過去にも、クラウドを前にしてIT部門は自らの役割を再考する必要があると執筆しているため、本記事では役割の再考について別の角度から考察してみたい。従来のIT部門は企業におけるテクノロジのオーナーとも言うべき立場であった。サーバからデスクトップPC、モバイル機器、そしてアプリケーションに至るまでのすべてのテクノロジはIT部門の管轄下にあり、同部門の承認を必要としていたわけである。

 新たな世界において、IT部門はその立ち位置をオーナーから管理人へとシフトしなければならない。新しいテクノロジやソリューションの学習や、ユーザーに対する提示を積極的に行うのは、引き続きIT部門の重要な役割となるが、新たな世界では複数のテクノロジやシステムの管理人として振る舞う能力がIT部門の最も重要な側面となる。つまり、テクノロジの導入やインフラの構築に気を配るのではなく、すべてのサービス品質保証契約(SLA)の順守や、システムの確実な相互連携、そしてサービスプロバイダーの長期的なビジョンと企業の方向性の一致を保証しなければならないというわけだ。

 またIT部門にとって、テクノロジの変化への追随が難しくなっていくという重要な事実も見逃せない。このため、管理人として振る舞うことによって、新しいアプリケーションやデバイスにとどまらず、既存テクノロジの新たな使用方法に関してもエンドユーザーの知識を活用できるようになる。

イバラの道を行く

 新たな役割を目指す道のりは険しいものとなるはずだ。ほとんどの会社が選択する道は、苦労の連続になるだろうが、重要なポイントが2つある。それは、こういった変化は避けられないという事実をIT部門が理解することと、IT部門の順応には一定の時間が必要となるという事実を業務ユーザーが理解することである。クラウドコンピューティングがユーザーにもたらす自由は会社全体にとってもメリットであるため変化は避けられない一方で、IT部門の変革はどのようなメリットがあるにせよ、常にイバラの道となるため時間がかかってしまうのだ。

 優れたIT部門は、既にこうした変革に手をつけている。エンドユーザーを新たなテクノロジ(ほとんどがクラウドベースやクラウド関連)に向かわせる原動力になりつつあり、ユーザーの業務に新たなソリューションをもたらすとともに、会社がスムーズかつ安全なプロセスを適用できるよう注力しているのだ。その一方で、変革を成し遂げられない企業は、破滅の坂を転げ落ちることになる。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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