本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本HPの山口浩直 執行役員CTOと、シマンテックの河村浩明 代表取締役社長の発言を紹介する。
「HPのテクノロジーを活用して、オープンなクラウドを推進するエコシステムを構築していきたい」 (日本HP 山口浩直 執行役員CTO)
日本HPの山口浩直 執行役員CTO
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)が9月5日、クラウドサービスプロバイダーの販売網拡大やマーケティング、サービス開発などを支援する「HP CloudAgileプログラム」を日本国内で本格展開すると発表した。同社の最高技術責任者(CTO)としてクラウド事業を推進する山口氏の冒頭の発言は、その発表会見で、このプログラムの推進に向けた意気込みを語ったものである。
HP CloudAgileプログラムは、HPのテクノロジを活用してクラウドサービスやクラウドソリューションを企業ユーザーに販売するビジネスパートナーを対象に、HPがグローバルで展開しているビジネス支援プログラムである。先進的なサービスを提供するパートナーの活動をHPが後方支援することにより、パートナーのよりスムーズな事業拡大を助け、結果としてHP自身の事業拡大にもつなげたいとしている。
同プログラムの本格展開に向け、国内ではNTTコミュニケーションズ、IDCフロンティア、インターネットイニシアティブ(IIJ)、日立システムズ、GMOインターネット、GMOクラウドの6社が参加し、協業を進めている。同社によると、グローバルではすでに50社を超えるパートナーが参加しており、この1年間に約3000件の協業案件を発掘し、約1億ドルの事業規模に達しているという。
同プログラムのさらに詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、この取り組みにおいて筆者が気になった点を挙げておきたい。それは、HP自体がクラウドサービスプロバイダーでもあることから、テクノロジという「材料」をパートナーに提供する同プログラムの活動と、どのようにバランスを取っていくのか、ということだ。
会見の質疑応答でこの点を問うたところ、山口氏は「HPはサービスプロバイダーの顔も持つが、グローバルな事業方針としてエコシステムをしっかりと築き上げていくことを打ち出している。自らがサービスプロバイダーでもあることで、パートナーの皆さんの先進的なサービスと組み合わせて多様な顧客ニーズに対応したハイブリッドクラウド環境を提供できるようにもなる」と説明した。
同氏はさらに、「今回のプログラムは、HPの営業がパートナーの皆さんとさらに深く連携して事業拡大を図ろうというのが狙い。そうした活動をHP内部でも評価する仕組みを取り入れた」ことを明らかにした。つまり、パートナーにとっては、HPのテクノロジーだけでなく、営業マーケティング力も活用できるわけだ。