セキュリティ企業のデジタルアーツは10月7日、私物端末の業務利用(BYOD)やファイル共有ツールの利用とセキュリティに関する意識調査の結果を発表した。調査によると、個人端末の業務利用率は約35%、ファイル共有ツールの業務利用率は12%となった。
調査を分析した、デジタルアーツの取締役 最高技術責任者(CTO)兼研究開発部長の高橋則行氏は「BYODやファイル共有ツールは、明確なルールがないまま、利用が黙認されていることが多い。きちんとした対策を検討すべきだ」と対策の必要性を訴えた。
デジタルアーツ取締役 CTO兼研究開発部長 高橋則行氏
調査はスマートフォンやタブレット、ノートPCのいずれかを普段利用している全国の20歳以上の就業者(男女)を対象にネット上で8月28~31日に実施。サンプル数は1648人で、都市部が824人、郊外が824人。都市部と郊外、会社員と公務員に分けて集計している。デジタルアーツがこうした調査を実施するのは初めてという。
調査項目としては、個人端末の所有台数や勤務先から支給された端末かどうか、個人端末の利用に規制があるか、勤務先以外での利用で不安を感じるか、ファイル共有ツールは何を利用しているか、外出先でどんなファイルを使うか、データの持ち出し経験はあるか、持ち出しに罪悪感があるか、など。調査レポートはデジタルアーツのウェブサイトからダウンロードできる。
個人端末の業務利用は35.6%--何の規制もない利用は21.5%
個人端末を仕事で利用することが「許可されている」人は全体の35.6%で、そのうちの60.3%(全体の21.5%)は「特に規制がなく自由に使っている」ことがわかった。職業別で見ると、公務員の場合は、都市部、郊外とも「禁止されていて、使っていない」割合が約49.1%であるのに対し、会社員では28.3%になるなど、差があった。
図1:個人利用における個人端末の規制/利用状況(デジタルアーツ提供)
勤務先支給端末の私的利用については「許可されている」が全体の38.7%で、そのうち「規制はない」が62.5%(全体の24.4%)だった。「禁止されている」は全体の44.7%で、公務員が68.3%、会社員は39.7%だった。
図2:勤務先支給端末の私的利用(デジタルアーツ提供)
こうしたことから言えるのは、なんらかのルールを設けながら端末を利用している割合は、個人端末の場合で約6.9%、会社支給端末の場合で14.3%にすぎず、およそ4~5人に1人は、端末を会社や個人の区別なく自由に使っているということだ。しかし、利用にあたって、不安を抱えていることもわかった。