「30億台の携帯電話にJavaが搭載」「ブルーレイプレーヤーすべてにJava」「50億枚のJava搭載カード」……。
9月に米サンフランシスコで開催された「JavaOne San Francisco 2013」では、Javaがわれわれの身近にあるさまざまなデバイスに搭載されていることが改めて強調された。
それに関連しているのが、ここにきて注目を集めている「モノのインターネット(Internet of Things:IoT)」だ。これまでの人と人、人と機械だけではなく、機械と機械がつながり、何らかの自動トランザクションを起こし、価値を生み出すという。
例えば、冷蔵庫とネットスーパーのシステムが連携することで、キャベツなど庫内に不足している野菜を自動発注するといった機能が今後普及していくかもしれない。
日本オラクル Fusion Middleware事業統括部 ビジネス推進本部 シニアマネジャー 伊藤敬氏
Cisco Systemsの調査によると、モノのインターネットの経済効果は今後10年世界で14兆4000億ドルに上る。日本はうち5%としており、70兆円だという。この巨大な市場に対して、IT企業はそれぞれの立場からアプローチをかける。Ciscoなら、機械と機械が通信するインターネット環境を支える通信機器をアピールすることになる。
一方、旧Sun Microsystemsを買収したことでJavaを取り込んだOracleは、数百億台に上るデバイスの多くがJavaに対応していることを強調。IoT関連ビジネスへの注力を表明する。
日本オラクルは10月28日、JavaOne San Francisco 2013の内容を報告する記者説明会を開催。Fusion Middleware事業統括部 ビジネス推進本部のシニアマネジャー、伊藤敬氏によると、IoTが大きなテーマになったという。
JavaOne 2013の資料
「Java is big. Really big」(Javaは大きい。本当に大きい)
この資料にはJavaの守備範囲が書かれている。図の通り、Javaは基盤環境としてJava SE、Java ME、Java Cardがあり、Key APIとしてJava EE、JavaFX、BD-J、Java TV、MSAなどがあり、サーバ、デスクトップ、組み込み、テレビ、モバイル、カードなどデバイスを網羅している。ITの仕事をしていなければ意識しないが“Javaだらけ”な世の中とも言える。
そのJavaで現在テーマになっているのが、来春リリース予定のJava 8で実施予定の「Java MEとJava SEの統一」だ。サーバやデスクトップ、組み込みの一部をカバーするJava SEと、モバイルなど小型端末をカバーするJava MEが統一されることで、Javaのプログラマーが多様なデバイス向けにプログラムを書ける環境を提供する。
IoTを見据えた時に、技術者にとってJavaの専門性が利点となるような環境を整えておくのも重要だ。その意味でも、今後もこうした取り組みによる環境改善が意味のあることになってくる。
Java MEとJava SEの統一で、より柔軟な開発が可能になる