1つ目は「デジタル・テクノロジー・アーキテクチャ」。単に企業のITシステムだけを担うのではなく、今後は自社の製品やサービスも含めたすべてのデジタル化技術を生かす仕組みを構築していくべきだという考え方だ。2つ目は「エンタープライズ・インフォメーション・アーキテクチャ」。1つ目で述べた仕組みから発生する情報をどう生かしていくかということだ。
3つ目は「サイバー・セキュリティとリスク」。この点も単に企業のITシステムだけを対象とするのではなく、自社の製品やサービスを含めてデジタル化全体に対応できるようにするのが望ましいとしている。4つ目は「産業基盤化されたITインフラ」。これは社内外のクラウドをうまく連携していくことを指す。そして5つ目は「デジタル・リーダーシップ」。まさしく会社を挙げてのデジタル化への取り組みをリードすることだ。
こうしてみると、Gartnerは「デジタル」という表現を、IT分野、さらには社会の大きな変化の象徴として適用しているようだ。新鮮味には欠けるが、すべてをカバーできる言葉はこれしかないのも確か。筆者も同氏にならって「いよいよ本格的なデジタル社会が到来する」と強調しておきたい。
「大手企業のデータベース利用は今後、Database as a Serviceへ移行していくだろう」 (米Oracle Juan R. Loaiza シニアバイスプレジデント)
米Oracle シニアバイスプレジデント Juan R. Loaiza
日本オラクルが先頃、米Oracleシステム・テクノロジー担当シニアバイスプレジデントのJuan R. Loaiza(ホアン・ロアイザ)氏の来日に伴って記者会見を開いた。Loaiza氏の冒頭の発言は、その会見で、データベース利用の今後の方向性について語ったものである。
Loaiza氏が語る「Database as a Service」とは何か。その背景として同氏は、「これまで企業内のアプリケーションとデータベースはシステムごとに独立していた。この導入の仕方は、パフォーマンスや可用性、セキュリティを確保するために現実的なやり方だったが、結果として膨大な数の個別のシステムが企業内にできてしまい、管理コストが膨れ上がってしまっているという状況がある」と説明。それを解決するために、データベースをクラウドサービスとして提供する形にしたのが、Database as a Serviceである。
イメージとしては、企業内に大きなデータベース基盤を設け、そこから必要に応じてデータベースリソースを利用するといったものだ。同社ではこれを「Oracle Enterprise Database as a Service」として、そのクラウドアーキテクチャを構成するプラットフォーム、データベース、ライフサイクル管理といった3つの要素を整備している。
その内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは会見の質疑応答で筆者が聞いたDatabase as a Serviceとデータベース事業との兼ね合いについて記しておこう。
質問の意図は、先述したようにデータベースとして膨大な数の個別のシステムができたからこそ、同社のデータベース事業は巨大なものになったのではないかというもの。それがDatabase as a Serviceに移行していくとなると、ビジネスモデルとして厳しくなるのではないかという見方だ。
これに対し、Loaiza氏は「厳しくなるどころか、むしろ当社のデータベース事業にとっては強力な追い風になる」と自信たっぷりに答えた。なぜ、追い風になるのか。同氏はおもむろにこう答えた。
「企業を取り巻くデータは増加の一途をたどっている。Database as a Serviceはその受け皿として、企業にとって管理コストを抑えるソリューションとなり、捻出できた資金でデータベースを一層増強することができる。私たちはこうした流れになると確信している」
いわゆるビッグデータ時代を迎え、データベースもクラウドサービス化することは必然とも言えるが、この分野のトップベンダーであるOracleはビジネスモデルを確立できるまで慎重に事を進めるのではないかと推察していた。が、それはどうやら筆者の見当違いのようだ。Database as a Serviceを打ち出したことで、Oracleがクラウドビジネスをさらに加速し始めたとの印象を強く感じた。
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