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“クラウドOS”の先兵「Windows Server 2012 R2」--2015年の「2003」延長サポート終了を見据える

大川淳

2013-11-08 14:07

 日本マイクロソフトは11月7日、同社の“クラウドOS”構想を改めて紹介するとともに、その具現化の一つとして、サーバOSの新版となる「Windows Server 2012 R2」の市場戦略を説明した。2015年7月に延長サポートが終了する「Windows Server 2003」について、最新OSへの移行機会ととらえ、移行促進や支援のための策を講じていく意向を示した。

仮想化技術を軸にコンピューティング環境を統合

 同社では、クラウドOSと呼ばれる戦略を掲げている。この構想は、モビリティ、ソーシャルメディア、ビッグデータ、クラウドという4つの潮流が連動しながら、ITを正の連鎖へと導くことが目的。この目的を下支えする基盤として、仮想化技術を軸にオープンな開発環境と一元的なシステム管理を柱とする、一貫したプラットフォームを提示する。このプラットフォームによってマイクロソフト、顧客、サービスプロバイダーの3者があたかも単一のコンピュータに包含されているかようにするというのが、クラウドOSの構想だ。


日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部長 吉川顕太郎氏

日本マイクロソフト Windows Server製品部 エグゼクティブプロダクトマネージャー 岡本剛和氏

 そこには、クラウドOSという製品があるわけではなく、今後の製品開発や諸政策を決定するための基本思想になる。その成果として「今や、Windows ServerとPaaSを提供する“Windows Azure”は、技術的に対称形をなしている」(日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部長 吉川顕太郎氏)という。

 11月1日に提供が開始されたWindows Server 2012 R2と、システム管理製品「Microsoft System Center 2012 R2」は、クラウドOS構想の先兵として位置付けられている。

 Windows Server 2012 R2は、前版の「Windows Server 2012」の基本仕様は変わっていない。だが、機能は強化されている。例えば、仮想化関連機能だ。「Hyper-Vレプリカ」は、仮想マシン単位でバックアップのためのコピーができ、障害、災害対策に利用できる。これまでは、同期頻度が5分に1回だったが、最大で30秒に1回との設定も可能なったほか、レプリカから、さらに別のサイトへのレプリケートもできるという。

 ハイブリッド環境管理も強化点の一つだ。従来、オンプレミスとパブリッククラウドは、別々の管理ツールを使用していたが、共通の管理基盤が提供され「統一的なビューで監視でき、双方とも同じ監視環境で管理できる」(日本マイクロソフト Windows Server製品部 サーバープラットフォームビジネス本部 エグゼクティブ プロダクト マネージャー 岡本剛和氏)ようになった。

 階層化ストレージ機能では、ハードディスク(HDD)とソリッドステート(SSD)を組み合わせ、プール化する。頻繁に使用されるデータはSSDに、アーカイブなどの大容量データはHDDに配置する。エンドユーザーからは透過的に利用することができる、とそのメリットを説明している。

 「Workplace Join」と呼ばれる機能は、デバイスをActive Dirctoryに登録、それ以後、登録済みのデバイスだけを保護されたデータへのアクセスを許可する機能だ。データへのアクセスを、よりきめ細かく制御でき、セキュリティを高めることを目指す。

迫るWindows Server 2003のサポート切れ

 国内で稼働するx86サーバは、2012年で約218万台だが、OS別シェアをみると、それらのうち72.4%はWindows Serverシリーズが占めている。内訳は「Windows Server 2008」が33.3%、「Windows Server 2008 R2」が35.3%となっている。Windows Server 2003を含めた、それ以前のOSは28.2%にのぼり、台数にして45万台になるという(出典:IDC Japan)。

 吉川氏は「サーバOSの入れ替えは容易ではない。長い期間がかかり、早期に準備が必要。Windows Server 2003ユーザーのうち48%は、Windows Server 2012に移行するとしているが依然、Windows Server 2003を継続使用するとの層は13.4%だった。サポートが終われば、パッチの提供がなくなり、(マルウェアなどからの)危険性が高まる」と話す。


大塚商会 TSC MSソリューション課長 板垣智和氏

 Windows Server 2012への移行支援策には、マイクロソフトのパートナーも一役買っている。今回は大塚商会の取り組みが紹介された。

 同社は、情報収集や準備の段階から設計、構築、サポートまでを包括的に担う。大塚商会 TSC MSソリューション課長の板垣智和氏は「従来と比べ、移行に際し、選択肢が非常に広がっている。クラウド、仮想化技術などを利用することもできる」と説明する。同社では「Active Dirctoryコンサルティング」「Hyper-Vサーバ仮想化導入支援」「Windows Azure導入支援」などのサービスを用意している。

 今回のWindows Server 2012 R2は、Windows Server 2012投入後1年でのアップデートであり、間隔が短すぎるのでは、との見方もある。これに対し吉川氏は「オープンな開発環境を起点に自社の経験や知見を製品開発に活かせるよう、開発スタイルを変えたことで、より新しい技術を早く届けられるようになった」と述べ、変化への速い対応が企業の競争力強化につながるとの見解を示した。

 それでも、“枯れた”システムを志向する企業、アプリケーションの作りこみ、そのほかの理由でなかなか新OSに移行できない向きはある。これらの層に対し、明確な解決策が用意されているとは言い切れない。だが、今後、仮想化技術の適用によるさまざまな方策が提案されることが期待される。


Windows Server 2003を含めた、それ以前のOSは28.2%を占める

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