中央省庁による自由なアイデアの募集--「オープンデータ・アイデアソンin東京」レポート - (page 3)

田島逸郎 2013年12月10日 07時30分

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 「高齢化と路線バスの利活用」チームでは、「俺のバスwithオープンデータ」として、高齢化社会に向けた路線バスより柔軟なバスのシステムが提案された。具体的には、時間や場所が自由なオンデマンドバスや、お店も選べる多機能バス、オンデマンドバス利用者の帰路も確保できる乗り継ぎバスを挙げた。利用できるデータとして、利用ログやニーズに関する統計などのデータを挙げた。

 「みんなで見守る高齢者福祉の仕組みをつくる」チームでは、まず高齢者福祉のプラス面とマイナス面が洗い出された。その上で、「高齢者の経験とスペースを世代を超えて共有するマッチングサービス」として、世代間の断絶、高齢者の持つ空き家、仕事がないなどの問題を解決するため、空き家をオフィスとして貸し出し、高齢者の持つ問題を高齢者自身の経験やスキルで解決するようなマッチングサービスが提案された。

 「オープンデータを使って地域の交通安全を考える」チームでは、地域を安全な街にするという観点で、防犯、防災の観点でアイデアを出した。防犯では、街灯や犯罪情報のマッピングや地域パトロールなどをより効果的にしたり、民間の監視カメラの利用、犯罪率や、笑顔を画像認識してランキングにするなどのアイデアが出てきた。

 防災の観点では、避難所に関する情報について議論された。町内会や連絡先などの詳細な情報や、携帯電話の位置情報などの利用のアイデアが出てきたが、個人情報との兼ね合いの問題が出てきた。

 「東京オリンピックにむけたおもてなし交通と生活交通」チームでは、「おもてなし、わかちあい」をテーマに、車の助手席やルームシェアなどのマッチングシステムによる助け合いや、IDの発行による個人認証、デジタルサイネージによる情報の可視化、混雑データなどに基づいた利便性の向上などのアイデアが提案された。さらに、それをオリンピックを通じて「未来標準」として打ち出すことまで検討した。

 「オープンデータでスポーツ振興」チームでは、オリンピックに関わる地域の人が直接情報発信をする「市民参加型のオープンオリンピックサイト」を提案した。オリンピックに興味を持たせるような、選手や審判の視点で発信し、背景のドラマを知ることができるサイトや、海外に向けた観光や商品の情報発信などが具体的な案として上がった。

 「オープンデータで自分たちの街を売りだそう」チームでは、千葉市を具体的な題材としてアイデアを出した。千葉市の課題としてイメージがないことを挙げ、ちょっと足を伸ばして寄ってもらえるような魅力的なコンテンツを提供することを提案した。利用できるデータとしては、観光ガイドや飲食店などの埋もれた情報や、街のショートストーリーに合わせたデータなどを挙げた。

 「持続可能なバリアフリーマップ作りを考える」チームでは、「バリアフリー体験を提供する!」と題し、行政、民間企業、ソーシャルの「みんな」が参加するような、地図に関する多くのアイデアが生まれた。例えば、振動や音声で道を知らせる「見えない地図」や、予めルートをシミュレーションする「持ち歩く『マイマップ』」などのアイデアが出た。実現のためには行政の持つ道路や勾配などのデータ、ソーシャルで集めた危ない箇所マップなどが利用できるとした。

従来の行政の枠に収まらないアイデアと、実現への課題

 アイデアソンでは、エンジニアと行政関係者が人数的に偏ることなく参加し、それぞれの立場から意見を出し合った。今回は、まずデータありきではなく社会課題から必要なサービスを考えるという観点でアイデア出しがなされ、従来の行政が担うのが難しかった、生活に密着したサービスをICTで実現するアイデアが多数出てきた。

 アイデアを俯瞰すると、まずデータをどう公開、入手すればよいかという問題が予想以上に大きい印象だ。また、ソーシャルメディアを含む公共的なウェブサービスを、普及させて持続させていくのは難しく、完全に個人や企業がそれを担うとするなら、何らかのビジネスモデルは必要になると考えられる。しかし、データを広く公開して、社会課題解決やイノベーションに活かそうというオープンデータの発想は、アイデアを出していくことで確実に具体化されはじめているのではないかという印象である。

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