日本オラクルは1月28日、クラウド統合とInternet of Thingsへの取り組みについて発表した。この2つの分野は、ハードウェアとソフトウェアを作り込んで最適化する「エンジニアドシステム」「インダストリ」とともに、同社が注力している分野だ。
エンジニアドシステムにおいては「Oracle Exalogic Elastic Cloud X4-2」を1月23日に発表、インダストリにおいては「ORACLE INDUSTRY LEADERSHIP SUMMIT 2014」を4月24日に開催し、同社の製品やサービスが業務にどう寄与するかを紹介するという。
日本オラクル執行役員 桐生卓氏
今回の発表では、クラウド統合とモノのインターネットとも呼ばれるInternet of Things(IoT)への取り組みについて、同社の執行役員でFusion Middleware事業統括本部長である桐生卓氏が説明した。クラウドには「短期導入」「変化への柔軟性」「CAPEX(資本支出)削減」といった期待や効果がある一方で、「戦略的ITビジョンの欠如」「全体アーキテクチャの複雑化」「不明確な責任所在」といった課題もあると桐生氏は指摘する。
具体的には、企業が社内の部署ごとにPaaS、Salesforce.comなどが提供するSaaS、Amazon Web Service(AWS)といったクラウドサービスへと個別に接続している実情があり、それらがチェーンのように複雑に絡み合い、外せなくなる日も遠くないとした。
特に、同社がターゲットとする、ミッションクリティカル性や拡張性が求められる領域では、クラウドの連携特性が重要となる。大きな課題は、認証やAPIなどSaaSごとに異なる接続方式の違いをいかに吸収するかにあるとした。
セールスフォース向けにシステム連携アダプタを新たに提供
そこで同社では、300以上のアダプタの提供実績を生かし、SaaS向けアダプタの提供を開始する。その第一弾となるのが、同日に発表された「Oracle Cloud Adapter for Salesforce.com」だ。Salesforce.comに特化したアダプタで、社内環境の連携実装の作業工数を従来の約50%にまで低減するという。
また、アプリケーションとバックエンドのシステムをつなぐ際のサービスレベル契約(SLA)を担保するため、連携基盤において「Business Transaction Management」による可視化を可能にしている。
「Oracle Cloud Adapter for Salesforce.com」による手順比較
エージェントが自動的にシステムマップを作成するため、クラウドからオンプレミスまで含めた運用状況の可視化を実現できる。アラートの設定も可能だ。これにより課金状況が分かり、コストの最適配布が可能になる。
さらに、Oracle Cloud Adapter for Salesforce.comに「Oracle Service Bus」「Oracle Technology Adapters」「SOA Management Pack Enterprise Edition」をセットにした「クラウド統合パック」も発売した。
「Business Transaction Management」による可視化
IoTの軸はライフスタイル、業務改革、社会インフラの3つ
Internet of Thingsへの取り組みについて、桐生氏は「ライフスタイル」「業務変革」「社会インフラ」の3つの軸で整理した導入事例の表を示した。BtoB、BtoCともに、すでに多くの実績があるとして、いくつかの事例を紹介した。そのアーキテクチャは、各所にあるセンサからインターネット経由でデータを吸い上げ、取捨選択し、分析して必要なアクションにつなげるというもの。
同社では、センサをJava Embeddedにすることでさらに賢くし、デバイス側でもデータの取捨選択ができるようにする。これにより言語を統一し、一気通貫のシステム構築が可能となるとしている。リアルタイムイベント処理を「Oracle Event Processing」と「Oracle Coherence」で対応し、リアルタイム性の低いものはハードディスクに格納して分析し、情報流量を制御する。
分析は「Exadata」「Big Data Appliance」で実施する。これまで同社はイベント処理と分析を強調していたが、センサの技術についても注力していくとした。また桐生氏は、コスト面での同社の強みもアピールした。
Internet of Thingsへの取り組み