ロンドンのシリコンバレー「テック・シティ」(前編)--独特の成り立ちと発展 - (page 3)

Steve Ranger (TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2014-02-07 07:30

#2:まず芸術をたしなむ者たちが、そしてサブカル系とオタクたちが後に続き

 ロンドンでは常に新たなものが生み出され、置き換えられていっている。芸術家らが入り込んできた後、メディア関係やクリエイティブ関係の業者がそれに続いた。その後、IT関係の新興企業も同じ利点、すなわち安い賃貸料とロンドン中心部への近さ、そして発展中の芸術的なコミュニティーを求めて流入してきた。聖書の詩篇風に語ると、芸術家は前に行き、サブカル系はあとになり、さらにハッカーやオタクたちが後に続いたというわけだ。

 Nicholson氏は「確かにイースト・ロンドンのこのあたりは地下鉄の駅がないにもかかわらず、長い歴史を生き抜いてきたという運の強さがある。それはこの地域の経済がそういったインフラのある地域とは別のレベルで機能していたためだ」と述べている。

 テクノロジ分野のアクセラレーターであるTechstarsの最高経営責任者(CEO)Jon Bradshaw氏はもう少し単刀直入に「そこは交通の便という点でロンドン最悪の孤立地帯だった」と述べている。これにより、シティ・オブ・ロンドンの金融街に接しているところでさえ、隔離された安価な土地であり続けていたわけだ。

 Last.fmの共同創業者であるFelix Miller氏とMartin Stiksel氏も、同社創業時にこのエリアに移ってきた人たちである(ちなみにLast.fmはTechRepublicの親会社であるCBS Interactiveに売却されている)。

 Stiksel氏は「われわれがこの地区に来たのは、音楽という観点からだ。当時のイースト・ロンドンはとにかく音楽にとって最高の場所であり、ライブ会場はすべてここにあった」と述べている。


ロンドンにあるGoogleのCampusも新興企業を生み出す舞台となっている。
提供:Steve Ranger/TechRepublic

 Last.fmは、シリコン・ラウンドアバウトの初期の地図に載っている企業の1つだ。Miller氏は、初期の頃にこの地に拠を構えた会社の興奮を今も覚えている。

 「立ち上げ時のLast.fmでは、最初の従業員を雇用する際に、月に300ポンドを支払い、家賃を節約できるよう屋上テラスに無償でテントを建てられるようにし、ランチは毎日こちらが用意するという契約を使っていた。このような契約で人を集め、われわれは生き抜けたのだった」(Miller氏)

 Stiksel氏は、テック・シティというものが単なるマーケティング上のブランドではないと語っている。同氏は「そこでは現実の企業が操業し、本当のお金を生み出し、実際の雇用を生み出していることは間違いない。興味深いことに明らかに、必要不可欠な人々が存在しており、そこで成長を続けている会社についての語られるべき興味深いストーリーと素晴らしいストーリーが存在している」と語った。

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