ロンドンのシリコンバレー「テック・シティ」(前編)--独特の成り立ちと発展 - (page 4)

Steve Ranger (TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2014-02-07 07:30

 「Little Printer」を製造しているBERGも、早い時期にこの地区に移ってきており、最初のシリコン・ラウンドアバウトの一覧に名を連ねてもいた。CEOのMatt Webb氏はシリコン・ラウンドアバウトのすぐ近くにある同社のオフィスで紅茶を飲みながら「われわれの最初のオフィスは、ロンドン・ウォールの外側という規制の緩い地区にあり、この地区最初のちゃんとした劇場と同じ場所にある。その場所が、地域の文化的遺産であるというのは素晴らしい」と述べた。

 同氏は「この地区は、われわれがここに移ってきた数年前と比べると、ずいぶんと発展した。移ってきたのは確か2008年だった。当時は小規模IT企業がそんなに多くなかったため、われわれは最初の一覧に掲載された」と述べた。

 Webb氏にとって、IT企業コミュニティーに参画するのは多くの利点、特に小規模企業のサポートネットワークが生み出されるという利点があるという。

 Webb氏は「同じようなサイクルを経験しているのであれば、同じ感覚を共有できるため、そうした人たちが周りにいる場所で仕事をしたいと思うはずだ。また、大きな展望を持っている人が近くにいる場合、大きな展望を持ちやすくなる。この点で私はサンフランシスコのような土地をいつもうらやましく思っている」と述べるとともに「似たような、しかしひと味違う考え方を持っている人たちが集まれば、新たなアイデアが生み出される。つまり、セレンディピティのための地域社会であり、この地でもそういったことが起こってほしいのだ」と述べた。

 長期的な経済効果を評価するには時期尚早であるものの、テック・シティはディケンズの小説に出てきそうなイースト・ロンドンの街をクールなバーやいかした飲食店がオープンする場所に作り替え、セレンディピティを起こすミーティングが生み出されやすくし、遺棄されていたヴィクトリア時代の建築物にエネルギッシュなストリートアートを加えているのである。

 ハックニー区議員のGuy Nicholson氏にとって、この組み合わせは必要不可欠なものとなっている。同氏は「コーヒーショップの方に目を向けると、シティ・オブ・ロンドンに活気を与えた18世紀のコーヒーショップの現代版を見ることができる。これは新しい経済活動であり、この種の新しい経済活動が成功し、反映していくうえで21世紀のコーヒーショップ以上の場所はないだろう」と述べている。

 ハックニーの区議会も、この地域をユニークなものとして維持しつつ発展させていきたいと強く考えている。巨大なストリートアートはこの地域の象徴となっている。同氏は「われわれの通りや裏路地がたどってきた歴史は非常に重要であり、こういったものすべてによるある種の興奮と期待によって、アイデアの誕生につながるきっかけが生み出されるというのがポイントなのだ」と述べている。

 後編に続く。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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